ウンコの神様 前編
俺は仔実装を飼っている。
名前は「プリ」という。
非常に賢く、性格も素直で従順という、飼い実装石としては申し分ないヤツだが、
一つだけ困った欠点がある。
「テッチー!テッチー!」
プリがこちらにヨチヨチと走ってきた。
コケそうになりながらも懸命に走る。
俺の足元まで来るとコテンと仰向けに倒れた。
ぱんぱんに膨れ上がったオムツを俺に見せ付けてくる。
「テテチー!テチー!」(もううんちいっぱいテチー!)
そう、コイツの困った欠点とは、
『並外れてウンコをたれる』ということだ。
ちなみに名前の由来もここから来ている。
平均よりも活動的な性格で、発育もいいコイツは、
そのおかげで新陳代謝も活発なのか、排泄する量がやたらと多い。
おそらく平均的な仔実装の3倍は出す。
普通のパンツではコイツの糞の前には役に立たない。
トイレを覚えてないワケでもないが、
下がかなり緩いらしく、トイレ到着前に暴発することも少なくなかった。
というわけで、コイツはその賢さにそぐわない、オムツ仔実装となっている。
しかしその負担は飼い主である俺にかかってくるのだ。
「テッチュ、テッチュ」(うんちいっぱいテチュ)
目の前で大股開きのプリが、ご機嫌で鳴いていた。
オムツを取替え、尻を拭いてやる。
「テチュフ〜ン♪」
気持ちがいいのか、うっとりした声で鳴きやがる。
――ムカつく。
コイツに悪気がないのはわかってる。
コイツ自身も素直で可愛い奴だ。
しかし、1日にこう何度も尻を拭かされるのは頭にくる。
そもそも、これで今日は何度目だ?
まだ昼前だというのに6回目だぞ!
毎日2桁だぞ!
オムツ代だってバカになんねーぞ!
おまえいつもウンコくせーんだぞ!
ちっとはそのバカウンコを減らせ!
ブリョ。
俺が激しい葛藤を繰り広げている目の前で、代えたばかりのオムツが盛り上がった。
「おーい、おやつだぞ」
「テッチュー♪」
プリが走ってきた。あいかわらずオムツが盛り上がっている。
「テッチ!テッチ!」
俺の足元で待ちきれないように、飛び跳ねるプリ。
今日のおやつは大好物の金平糖…に見える低圧ドドンパだ。
あれから俺も考えた。
コイツのウンコの度に、いちいち付き合うよりも、
コイツのウンコを俺につき合わせればいい。
つまりは小出しにさせずに、強制的に全弾発射させるのだ。
「今日のおやつは特別なんだ。お風呂で食べような」
「テッチュゥ♪」
不自然な提案もまるで気にしないプリ。
完全に頭が食欲一色に染まっていた。
バスルームに着くとプリの服を脱がす。
「はーい、服を脱ごうねー」
「テチテチー♪」
上機嫌なプリは疑いもせずに裸になった。
「チュッチュゥ♪」
プリプリとポーズをとって俺に媚びている。
「うんうん可愛いな」
頭を撫でてやりながら低圧ドドンパを食べさせた。
プリは夢中で舐め始める。
全部食べ終わった途端にプリの顔色が青くなった。
「テチ…」
さっそくドドンパ発動だ。
プリは内股になって固まっている。
オムツ無しでのウンコはダメだと厳しく躾けてあるから、
コイツは今、必死に便意と戦っているのだろう。
「チュゥ…」
プリの表情が切羽詰ってきた。
眉間に皺がより、脂汗が流れていた。
ぐるぐるという音とともに、腹の表面がピクピクと動く。
俺はプリを仰向けに転がした。
「テチュッ!」
尻を向こう側に向け腹をさすってやる。
プリが半べそで俺を見た。
「テチュゥゥ…テチュ…」(うんち出そうテチュ、やめてテチュ)
俺はやめない。
もうちょっと我慢するとこが見たいんでね。
「テテチ!テチ!」(うんちガマンするテチ!)
歯を食いしばって耐えるプリ。
おまえのそういう真面目なところ好きだよ。
俺はますます腹を優しくさすってやる。
「テチッテチッ!」(もうだめテチ!うんちだめテチ!)
ここで救いの一言を。
「いいぞ、出しても」
「テチ?!」
プリの目が輝いた。
「ウンコ出そうなんだろ?思い切り出せ」
「テ、テチッ!」
やけに元気よく答えるプリ。
手を胸元に構え力みだした。
「テッチィイイイ…」(いっくぞーテチィ…)
プリの下っ腹がもこもこと動き出した。
ブリョブリョブリョブリョブリョブリョブリョブリョブリョブリョ…
「テ…テ…テテッチー!テチー!」
(うおぉぉ…うんちすごいテチー!ものすごいうんちテチー!)
自分でたれる糞に圧倒されて驚いてやがる。
出るわ出るわ。
みるみる広がるウンコの絨毯。
小さなプリの総排出口から、冗談のような量が溢れ出してきた。
俺は毎日こんな物量作戦に、一人で立ち向かっていたのか。
自分に感心するやら、情けないやら。
そうこうしているうちに脱糞は終了したようだ。
弾倉が空になるまでたれ続け、放心しているプリ。
「テチュー…」
「おい、どうした」
「テッチーン♪」(気持ちよかったぁテチ♪)
プリは満足げに鳴くとうっとりした目で俺を見た。
シャワーでプリの下半身を洗ってやる。
「テチュ♪テチュ♪」(最高だったテチュ♪)
プリが手にしがみ付いて甘えてきた。
「あーはいはい、邪魔しないようにな」
俺はプリを振り払い、糞の山をシャワーで洗い流していくが、
その間もプリは俺の周りでちょこちょこと歩き回る。
俺にシャワーをかけられても大はしゃぎだ。
「テッチュー♪テッチュー♪」
後始末を終えて身体を拭いてやると、
ポーズをとって媚びてきた。
コイツはバカみたいにウンコたれるところさえなけりゃ、
素直で可愛いやつなんだが。
軽く頭を撫でてやった。
「テチテッチ♪」(ご主人様ありがとうテチ、大好きテチ♪)
結果から言うと低圧ドドンパ作戦は大成功だった。
2日に1度のペースで糞抜きをするおかげで、オムツ替えは大幅に頻度を減らし、
プリは俺をますます慕うようになった。
「テチ!」
部屋の隅でプリが小さく鳴いた。
便意を催したらしい。
その場でしゃがみ込み、プルプルと震えている。
だが、プリはもう以前のプリではない。
ここからが新生プリの真骨頂だ。
「テチィ……」
しかめっ面をしたプリが四つんばいになった。
そのままゆっくりと尻を左右に振り出した。
「テッチ…チッチ…」
歯を食いしばりながら、尻を高々と上げてフリフリと揺らすプリ。
これがプリの新たな技『お尻フリフリ便意拡散ダンス』だ。
俺の『漏らすな』という言いつけに加え、2日に1度の大脱糞イベントに向けて、
プリはウンコの我慢に、たいへんな努力をするようになっていた。
溜まりに溜まった排泄の快感を最大限に楽しむため、
それまでの2日間をプリは必死になって便意と戦うのだ。
「テッテェー!テッテェー!」
プリの泣き声と尻フリが激しくなる。
短距離スタートのような体勢から、プリはがむしゃらに尻を振りまわす。
目に涙を溢れさせながら、尻を激しく突き上げ、
便意を紛らわせようと狂ったように振りまくる。
傍目にはマヌケそのものの動きだが、その顔も声も真剣だ。
プリにとっては最高の一瞬のための、絶対に負けられない戦いなのだ。
「テッチ…テッチ…」
そのうちに尻の動きが小さくなってきた。
一定リズムで左右への運動に切り替わる。山場を越えたらしい。
「テェー…」
大きく息を吐きプリの体勢が崩れた。
尻を掲げたまま突っ伏している。プリは勝ったのだ。
「よしよし、今日もよく頑張ったな」
俺はプリが尻振りダンスを踊るたび、褒めてやることにしていた。
こうして耐えるうちに、プリの肛門括約筋は鍛えられ、
いずれはウンコを漏らさない、優秀な飼い実装石になるだろう。
俺はプリの頬を流れる涙を拭い、優しく撫でてやる。
「テチュウ♪」
小さく鳴いてプリは俺の指に頬を擦り付け甘えていた。
頑張るプリと俺との蜜月の時間。
しかし、それも1ヶ月ほどのことでしかなかった。
最近、プリが生意気になってきた。
だがいわゆる『糞蟲化』とは少し違っていた。
特別なおやつ――
つまり低圧ドドンパを、やたら欲しがるようになったのだ。
大きな快感には禁断症状が付き物らしい。
そのせっつく間隔も日に日に短くなってきていた。
「テテチテチー」(おやつ欲しいテチー)
「今日の分はもう食べただろ」
「テチテチテッチー!」(違うテチ!特別なおやつが欲しいテチー)
「アレは2日に1度だ。明後日やる」
「テチー!テッチー!」(イヤテチ!いま欲しいテチー!)
「ダメだ」
「テチュ…」
こんなやり取りが何度か繰り返されていた。
そして今日もプリが、俺に低圧ドドンパをせがんでくる。
「テチュテチュー」(特別なおやつ欲しいテチー)
「ダメだ」
定番のパターン。
しかし、この日は後の経過が違った。
「テッチ!テチテチー!」(もう怒ったテチ!ニンゲンめテチ!)
プリが俺の足をポフポフと叩き出した。
「テチテテー!テッチ!」(いじわるダメテチ!おやつよこすテチ!)
大脱糞の快感に取り憑かれて、バカ実装石になっちまったか。
いや、未熟な仔実装の自制心にしてはよく持った方だろう。
しかし、それでもやっぱりお仕置き決定なのだ。
まずは基本のデコピンから。
「テチャ!」
仰け反ったところにもう一発。
「テチッ!」
顎に喰らったプリが格闘マンガばりにすっ飛んでいく。
体罰を受けるのも久しぶりのプリはすっかり怯え、
蹲ったまま、身体を丸めて震えていた。
それをムンズと捕まえ、軽く締め上げてやるとプリは激しく泣きだした。
「テェエエーン!テェエエーン!」
そのまま、俺はバスルームに向かった。
賢いと言っても所詮は仔実装。ちょっと殴ったくらいでは行動は直らない。
躾けをコイツの身体にわからせる必要があるのだ。
浴室に入るとプリの服を乱暴に剥ぎ取った。
「テェエエン!テェエエエーン!」
プリは泣いて抵抗するが、時折デコピンを加えながら制圧する。
完全制圧まで数分とかからなかった。
「テチュ…」
浴室の床で、丸裸にされたプリが俺を見上げている。
俺は思い切り冷めた目で見下ろしてやった。
「テ、テチュ…♪」
おっかなびっくり媚びてくるプリ。
俺の表情は変わらない。
しばらくは媚び続けるものの、俺の態度は軟化しない。
「テェェェ…」
プリの右手が力なく落ちた。
俯き肩を落としてベソをかいている。
その消沈しているプリを、俺はいきなり掴み上げた。
「テチャアーッ!」
「媚びてもダメだぞ。言うこと聞かないヤツはお仕置きだ」
ぽよぽよしたプリの腹に親指をあてて強く押し込む。
総排出口からウンコが溢れ出してきた。
「チィーッ!チーッ!」
俺の意図を理解したらしいプリが必死に抵抗してきた。
両手で俺の指を押し返し、足を激しくバタつかせ暴れる。
今、腹に詰まっているウンコは、2日に1度の脱糞日のために、
プリが懸命に便意を我慢し溜め込んでいたものだ。
その飼い主に逆らうほど病みつきになった快感の貯金を、
ムリヤリに全額引き落とされようとしているのだ。
プリの抵抗は熾烈を極めた。
俺の指を叩き、蹴り、噛み付こうとする。
「テテチィーッ!テッチー!」
先程のしおらしさはどこへやら。結局は快楽最優先になってしまうのだ。
そこでデコピン5連発。
右手、左手、左足、右足、アゴ。
俺の本気の中指が次々とプリの四肢をへし折り、アゴを割る。
抵抗手段を奪ったところで糞絞り再開だ。
プリの胴体をじわじわと握り締めていく。
「テヒュゥー…」
まともに悲鳴も上げられなくなったプリは、大粒の涙をこぼしながら、
大切に貯めたウンコが搾り出されるのを見つめていた。
貯蓄もあらかた尽きたらしく、総排出口からは血しか出なくなった。
「テェェーン…テフェェーン…」
シャワーで排水口に流されていくウンコを見ながら、
プリが弱々しく泣いていた。
「いいか『特別なおやつ』は2日に1度だ。
言うこと聞かないヤツは、まともにウンコもさせてやらないぞ」
「テチュ…」
俺は小さく返事をするプリをケージに入れて鍵をかけた。
今日はもうエサは与えないし、遊んでもやらない。明日までプリは独房入りだ。
厳しいようだが実装石の躾にはこれでも不十分。
特に今回の件は快楽が原因だから、いずれまたぶり返す。
だから今日のお仕置きも、まだ躾の準備段階でしかない。
本番は明日から始まるのだ。
翌日、ケージを開けてやるとプリはまだ眠っていた。
昨夜は遅くまで泣いていたから疲れていたのだろう。
軽くつついてプリを起こす。
「テチ?」
「プリ、大変なことになった」
ここで目いっぱい真剣な表情を作って、俺はプリに話しかけた。
「昨夜『ウンコの神様』が俺のところに来たんだ」
「…テチ?」
厳しい表情で俺は続けた。
「ウンコの神様はプリのことを、ものすごく怒っていたぞ。
『プリはウンコをたれ過ぎでけしからん!しかも飼い主の言うことを聞かない!
よってプリに厳しい罰を与える!』だそうだ。これは大変だぞ」
プリは事態がよくわかっていないようだ。当たり前だが。
そもそも実装石に神の概念の理解など期待していない。
しかし、神を知らずともバチは当たるのだ。確実に。
「神様はな、プリを二度とウンコ出来なくしてやると言ってたぞ」
「テッチィ!」
さすがに最大の楽しみを取り上げられてはプリも怒る。
テチテチと鼻息荒く鳴いている。
そんなプリを捕まえ、俺はまたバスルームに向かった。
「それはさておき、今日は『特別なおやつ』の日だぞ」
「テチュゥ♪」
もう機嫌が直ったようだ。
「テッチュ♪テッチュ♪」
昨日ほとんどのウンコを抜かれてしまったとはいえ、
それでもプリにとっては、何よりも楽しみなイベントだ。
既に全裸になったプリは、心身ともにスタンバイ完了らしい。
いつもほど膨らんでいない腹を撫でながら、俺を見上げてはしゃいでいる。
「ほれ」
「テチュ〜ン♪」
俺の手から金平糖によく似た粒を受け取り、夢中で舐め始めた。
しかし今回渡したモノは、いつもの低圧ドドンパではない。
新発売の『実装セーロ』――いわゆる実装石用正露丸のようなものだ。
この商品は実装石の糞止めに絶大な効果があると聞いている。
さて、その噂の効能はいかほどのものか。
俺が見つめる中、プリが実装セーロを舐め終わった。
「テチューン♪」
ころんと横になるといつものように発射体勢をとるプリ。
しかし、期待している排便の兆しが一向に現れない。
「テチュ?」
「テチィー?」
「テチィィィー!」
「テッチィィイイ!」
いつまでも出てこないウンコに苛付いた様子で、
ひっくり返ったままのプリが踏ん張っている。
ファイティングポーズのような格好で、必死に力むプリの額には青筋が浮き、
尻もぷるぷると震えているが、総排出口には何の変化も起こらない。
「テチ…テッチ…」
次の瞬間、歯を食いしばるプリの顔面に、赤と緑の飛沫が飛び散った。
噴水のように噴出した鼻血が、プリのムチムチ裸体に血の花を咲かせる。
「テチッチィー!チィー!」
顔面を押さえて転げまわるプリ。
痛みは無くとも、目の前の大出血に軽いパニックを起こしていた。
そこに桶いっぱいの冷水を浴びせかけてやる。
「テッチャアーッ!」
「落ち着け。鼻血が出ただけだ」
「テテェ…」
冷たさにプルプルと震えながらプリが俺を見上げた。
これだけ頑張ってもまるで無反応な下半身に、不安になってきたようだ。
「テチュ、テチュテチュ…」(うんち、うんち出ないテチュ)
「ウンコ出ないのは神様が怒ってるからだよ」
「…テェ!」
ショックを受けているプリ。ようやく事態の深刻さを理解し始めたようだ。
「テッチュ!テッチュ!」(どうしたらいいテチュ!)
「さあな、神様に許してもらうしかないな」
「チュチュッ!テチッ!?」(どうしたら神様ゆるしてくれるテチ?)
「とりあえず、俺の言うことよく聞く、いい子にならないとダメだろ」
「テチチー!テチー!」(はいテチ!いい子になるテチ!)
「じゃあ、服を着ろ。もう今日はウンコは出せないぞ」
「…テ!?」
「神様が怒ってるんだ。どんなに頑張ってもウンコは絶対に出ないから諦めろ」
「テェェーン!テェエーン!テェェエエエーン!」
プリは激しく泣きだした。
俺はプリに神様について簡単に教えてやった。
つまりウンコに関して世界一偉いお方で、この方を怒らせたプリは、
今後ウンコが出来ないどころか、下手すれば糞ヅマリで死んでしまうかもしれないと。
「テェェ…」
先ほどの不発弾に加え「死んでしまうかも」というコトの重大さに、
蒼白になって恐れおののくプリ。
「神様はプリのことをいつも見ているんだ。
キチンといい子にしてればきっと許してくれるぞ」
「テチュ!」プリは涙目で何度頷いた。
「それじゃあ、毎日ウンコの練習をするんだ。
頑張って出せるように踏ん張る。でも出そうになったら我慢する。
明後日の『特別なおやつの日』までしっかりやるんだ」
「テッチュ!」
プリが元気よく返事をする。
俺を見上げる濡れた瞳には、固い決意が宿っていた。
プリは猛特訓を開始した。
万が一漏らした場合に備え、ほとんどの時間を実装トイレで過ごし、
その間、ひたすら脱糞を目指して踏ん張っていた。
「テチィィ…」
しゃがみポーズで力んでいるプリ。
「テテチャッ」
時々、慌てて尻を上げる。
実装セーロ一粒の効き目では、稀に便意が起こるらしい。
「テッテェー!テッテェー!」
今度は便意拡散ダンスか。
悲鳴のような泣き声を上げて、プリは尻を振る。
激しい尻振りに便意が収まっていったようだ。
「テチ…」
ダンスを終えたプリがぐったりと床に倒れこんだ。
プリはもう2時間近く休み無しで励んでいたはずだ。
仔実装の体力では限界だろう。
「プリ、もう休め。今日は十分に頑張ったぞ」
「テ、テチ…」
プリがヨロヨロと身を起こそうとしたが、その動きが途中で止まる。
そして激しく泣きだした。
「テェエエーン!ティエエーン!」
「どうした?」
「テェエエェーン!」(あんよ痛いテチー!)
ああ、しゃがみ過ぎてて足が痺れたのか。
俺はプリを掴み上げると、その足を乱暴に突いてやった。
「テチャアー!テチェー!」
「これは神様がまだ怒ってる証拠だな」
大嘘である。
俺はプリの足を強く摘むと、乱暴に揉みほぐしてやった。
「チャチャー!テチャー!」(やめてやめてテチー!痛いテチー!)
「こうしたほうが早く治るんだよ」
「テチャッチャアー!」
「こら、我慢しろ」
プリは涙をこぼしながらも、声をかみ殺す。
俺の手にしがみ付き、震えながら痛みを堪える。
「よしよし、プリは良く頑張ってるから、神様もきっと許してくれるよ。
だから今は我慢するんだ」
「テチィ…」
躾は順調だ。
これほどの苦痛ならば、以前は声を張り上げて泣き喚いているところだが、
今のプリは必死に耐えようとしている。
最初のウンコが出なくなった「神様の怒り」がよほどショックだったのだろう。
しかも、相手が見えないのでは不満も怒りもぶつけようがない。
だから解決法は俺の指示に従う以外ないと、十分に理解している。
プリは本当に賢い仔実装だ。
もう少し躾には時間がかかるだろうが、コイツなら乗り切ってくれるだろう。
少々、順調過ぎて面白くないので、多少は遊ばせてもらうが、
俺は最後までお前を責任持って飼うことを約束するよ。
2日たって、今日は『特別なおやつ』の日だ。
プリはバスルームに向かう俺の手の中で、そわそわとせわしなく動く。
神様に許してもらえるかと、期待半分・不安半分なのだろう。
「ほら『特別なおやつ』だよ」
「テチュ…」
恐る恐るプリが受け取ったそれは実装セーロ。
たかだか2日踏ん張った程度では、神様は許しちゃくれません。
試練はまだまだ終わっちゃいないのだ。
当然ながら、プリがおやつを全て舐め終えても、
腹には何の変化も起こらなかった。
「まだ、神様は怒ってるんだよ」
「テェ…」
プリはほろほろと涙をこぼす。
この2日間はプリにとって最も長く苦しい2日間だったのだ。
プリ自身には一生懸命に頑張ったという意識と、相応の期待があったのだろう。
甘過ぎるよ、プリ。
俺は優しく話しかけた。
「プリ、明日からまた頑張ろう」
プリは応えない。
口元を歪め、唇を噛み締めていた。
「テッチ!」
顔をくしゃくしゃに歪め、プリが床に寝転んだ。
身体を縮め、腕を構え、力いっぱい踏ん張り始める。
「テチィィィイイイイ…」
額に青筋の運河が浮かび、全身が細かく震え始めた。
「テ、テ、テチィィイイイイ!」
力づくで排便してやろうというつもりか。面白い。
実装セーロの効き目以上の力で総排出口をコントロールできるのなら、
この躾の目的は達成だ。
さあ、やってみろ。プリ。
人間の科学に打ち勝って見せろ。
そうすれば、恐ろしい神の怒りはその瞬間にも終わるのだ。
「テェ…テェ…テチィィ…」
それから10分ほどの間、プリは踏ん張りに踏ん張った。
しかし、その下半身に変化が起きることは無かった。
――まぁ、所詮は仔実装だしな。
成体の下痢便でも完全停止させる最新薬だ。
プリごとき仔実装に打ち破れるような代物ではなかったらしい。
もう、プリは動けない。
全身の持てる力の全てを込めても、ウンコは出なかった。
気力も体力も使い果たしたプリには、もはや立ち上がる力も残っていない。
「……、テェエエーン!ティエエエーン!」
完敗の無力感と挫折感に打ちのめされ、プリは泣いた。
これからも続く、神の怒りの深さと恐ろしさに怯えて泣いた。
俺の予定ではこの躾は一週間を目処に考えていた。
プリの総排出口を鍛えるのも重要だが、
ペナルティの怖さと、因果関係を理解させるのが今回の目標だ。
反抗は神の怒りに触れると理解させることが出来れば、今後の躾の決め手に出来る。
プリを消耗させ追い詰めながら、体力と精神力をギリギリ保てる期間、
それが一週間という期間だった。
最初にプリに実装セーロを与えてから一週間が過ぎた。
プリの体型は激変していた。
手のひらに乗るほど小さな身体の胴体だけが、
ソフトボールが詰まっているかのように膨れ上がっていた。
「テ…テェ…」
苦しそうにプリが息を吐く。
溜まりに溜まったウンコが内臓を圧迫しているのだ。
この異常事態には、プリも落ち着いてはいられない。
「糞ヅマリで死んでしまうかもしれない」とう言葉が、現実味を帯びてきている。
「テッテッ!…テェ!」
実装トイレに篭り、プリは必死に力んでいる。
ここ数日間のプリは脱糞のために踏ん張り、力尽き、休み、また踏ん張る、
ひたすらこの作業を繰り返していた。
しかし日々押し固められていくウンコの硬さの前に、その努力も全て徒労に終わった。
「プリ『特別なおやつ』をやるぞ」
「…テチ…」
もうプリは以前のように『特別なおやつ』を欲しがらない。
この一週間で、プリにとっておやつタイムは苦しみの時間となっていた。
「テチュ…」
俺の手の中でプリが怯えたように小さく鳴いた。
躾の効果はもう十分に出ているようだ。
――よく耐えたな、プリ。怖い神様の怒りも今日で終わりだからな。
言葉に出せない労いを込めて、俺はプリを優しく撫でた。
「テチューン」
プリが不安を紛らわすように、俺の手に身を擦り付け甘えていた。
「ほら、おやつだ」
服を脱いだプリに、俺は金平糖の形をしたおやつを手渡す。
今回与えたのは低圧ドドンパだ。
プリがゆっくりと舐め始めた。
膨満感に苦しんでいるプリは食欲が落ちている。
おやつも空腹ではなく、甘味を楽しむための遊びのようなものだ。
半分ほど舐めた頃にプリに変化が現れた。
「テチッ!」
プリの腹が痙攣を始めた。
ぎゅるるるるる…。
不釣合いなほどの大きな音をたてて、プリの内臓が蠕動を開始する。
「テッ!テッテテテテテテ…!」
当のプリ本人が一番驚いているようだ。
突然こみ上げてきた便意に混乱し、何度も俺の顔を見る。
「テチュ!テッチュ!」
「プリ落ち着け、ウンコが出るだけだ」
「テテチュ!」
俺の言葉を理解したプリが大きく頷いた。
「いいか、落ち着いて踏ん張るんだ」
「テチ」
プリが胸の前で腕を構える。体勢は整った。
「テッチィィイイイ…」
気合を込めてプリが力むと、腹の表面が大きく動いた。
皮膚の下で大きなものが流れる動き。
ぷすーぷすーと屁を漏らしながら、プリの総排出口が開いていく。
だが、順調なのはそこまでだった。
「テテッ!」プリの引きつった声。
身体の震えが止まっていた。
「プリ?」
「テッ、………!」
様子がおかしい。
プリは目を剥いて固まっていた。
歯をカチカチ鳴らす音と、ピスピスと不規則な鼻息だけが続く。
原因は尻の限界だった。
プリの総排出口は限界まで広がっていた。
しかし、体内で高圧圧縮されたウンコが形を崩さないまま、引っかかっていた。
つまり出口よりも内容物が大きい、いや大き過ぎるのだ。
このままではプリの総排出口は裂けてしまう。
ならば、お湯で溶かしてウンコを崩すなりすれば――
「プリ、ウンコをいったん中に戻せ!」
「テチュ…」
プリが必死に総排出口を締める。
だが、それでもわずかに穴のふちがヒクヒクと動くだけだ。
しかも、そんな全力状態も長くは続けられない。
相手はドドンパの強烈な排泄力。
出す物があれば効果が切れるまで続くのだ。
「テ、テテチュ…」(もうダメテチュ…)
プリが泣きながら俺を見た。
俺は急いでシャワーを準備する。
「もう少し我慢しろ。ウンコを柔らかくしてやるから、少しづつ出せ」
適温に調整したお湯をプリの尻から覗くウンコにかけた。
――だが、それがマズかったのかもしれない。
「テッチャアアアアアアア―――ッ!」
浴室に反響するプリの大絶叫。
お湯がかかった瞬間、驚いたプリの力が抜けた。
それはほんの一瞬のことだったが、力の均衡を崩すにはその一瞬で十分だった。
ぱつん。
軽い音とともにプリの総排出口が裂けた。
ずるりと体内から巨大な糞が押し出されてくる。
ぷちぷちぷちぷち…
プリの尻の裂け目が広がっていく音。
地割れのような肉の裂け目が、プリの股間から腹へと駆け上っていく。
「ティエエエエエエエエ―――!!」
狂気がかったプリの悲鳴が響いた。
自分の腹が真っ二つに裂けていく光景。
肉が裂け、血が溢れ、内臓がこぼれ出す。
そしてその下から姿を現す赤く、黒く、緑色をしたモノ。
濃縮された暴力的な程の異臭を纏わり着かせるソレは、
ウンコと呼ぶにはあまりに禍々しく、獰猛な怪物のようにすら見える。
それはもはや排泄ではなく、
異形の脱皮、誕生のために母体を食い破る鬼の出産だった。
眼前で腹が裂ける。腹から胸へと裂け目がだんだん近づいてくる。
この裂け目が顔に届いたとき、自分は死ぬ――
プリにはそう見えていたのだろう。
「テチィィイイイイイイ!」
プリが半狂乱で泣き叫ぶ。激痛さえ消し飛ぶ死の恐怖。
「プリ!プリ!」
俺の呼ぶ声にも反応しない。
プリは完全にパニックを起こしていた。
涙と鼻水、それから血、体液を撒き散らしながら、のた打ち回って暴れる。
暴れるといっても上半身だけだ。
大きく裂けた下半身はまったく動かない。
裂けた腹では排泄の力も弱くなっている。
俺はウンコを掴みプリの身体から引っ張り出した。
その感触はまるでゴムの塊のようだった。
ほぼ球状の形は床に置いた後も崩れることが無い。
お湯をかけても溶けもしない。
どうやらコイツはゴミに出すしかないようだ。
「プリ、終わったぞ」
俺の声も耳に入らないのか、プリはまだ泣いている。
「テテテチー!」(ごめんなさいテチ!)
「テチテチー!」(神様、ゆるしてテチ!)
「テッテテチ!」(ごめんなさいテチ!)
「テテテェー!」(いい子になるテチ!)
リンガルには神様に許しを願う言葉が表示されていく。
「プリ!」
俺は桶いっぱいに水を汲み、プリの頭からぶっ掛けた。
「チャアッ!」
「しっかりしろ。もうウンコは出た」
「テチィ…」
「ウンコが出たということは、神様が許してくれたということだ。よかったな、プリ」
「テチュ…」
神様が許してくれたと聞いて、プリは落ち着きを取り戻してきたらしい。
しかし、今度は腹の傷の痛みと直面することになってしまった。
「テェエエエエーン!テェエエーン!」
(おなかいたいテチー!いたいテチー!)
その重傷っぷり見れば痛いのは分かる。
俺は早速プリの手当てに取り掛かった。
「テェエエエエーン!ティェエエエーン!」
腹腔内をよく洗浄し、包帯を固く巻いて固定。
消化機能がダメになってるから栄養剤を注射する。
その間、プリはひたすら泣き通しだ。
「あまりうるさいと、また神様が怒るかもしれんぞ」
「テチュッ!」
プリが引きつった声を上げた。
目は潤んだままだが、懸命に泣き声を押し殺そうとしている。
「よしよし、もうしばらくの間おとなしくしてろよ」
俺の命令に従い、プリは痛みをじっと我慢している。
それでもかすかに泣き声が漏れている。
いや、どうやら小声で何か呟いてるようだ。
「…テチュテチュ…」(いい子になるテチュ)
「…テテチ、テチ…」(神様、怒らないでテチュ)
プリにとって、今回の一件はたいへんなショックだったようだ。
うわごとのように神様に謝り続けている。
あまり厳しく締め付けるのも可哀相かもしれない。
「よし終わった。もう我慢しないで泣いていいぞ」
「…テ、テェ、テェエエエエエエエエエーン!」
俺が許可した途端に、プリは大声で泣き出した。
つくづく素直な実装石だと、俺は思った。
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