雨が降れば
いいのに

爪の間に入った泥を
爪楊枝でとりながら
耳をすますけど
雨音は聞こえない
今日植えた桜の芽は
雨を欲しているだろうに

満開の桜の下で
ひっそり生まれていた
桜の芽
こっそり摘んできて
私の庭に植えた

それから私は
あの部屋に思いをはせる
あの部屋にまだひっそりと
あるはずの桜の花の塩漬け

小説に
桜の花びらを塩漬けにすると
いつしか青くなると書いてあったから
本当かどうか確かめるために作った
桜花の塩漬け
あれは青くなっただろうか

耳をすましても
雨音は聞こえない

私が部屋を出るときも
雨は降っていなかった
塩漬けの花びらは薄桃色のままだった

もうひっそりと
花びらは青くなっただろうか
それとも
薄桃色のままだろうか

私の庭に桜が
咲くといいのに
あの部屋で花びらは
青くなるといいのに

雨は
まだ降らない

詩目次に戻る

TOPに戻る