寝たきりを防ぐ心の働き

講師:理学療法士 山崎 利幸



1/11.ノーマン・カズンズ博士


アメリカという国に、この国の良心の代表的なかたがいらっしゃいます。名前はノーマン・カズンズ博士。カリフォルニア大学で生物学の教授をされています。非常に高名なかたで、アメリカの若い学生であれば、一生に一度はこの先生の講演を聴いてみたいと思う、そのナンバーワンにあげられている有名な博士です。この博士がある日、強直性脊椎炎という病気になり、体が不自由になっていきます。ビールスが感染して、何らかの形で影響してその病気を引き起こしているのではないかと、検査したんですけれどなかなか原因が見つからない病気です。遺伝子に問題があるんじゃないかということで研究が進められていますけれど、いまだに原因不明です。当時の診断能力がどのくらいのものかはよく分かりませんけれど、ともかく、その病気になると5%の人が急速に進行し、重度の障害を受けて寝たきりになってしまうという難病です。そういう病気にかかりました。

その時の担当の先生もやはり大学の医学部の教授だったんですが、その担当の先生に、この病気は治しようがありませんと宣告されました。医療では治しようがないので、自宅にお帰りになって寝たきりの生活を続けてくださいと、医療から見放されていくわけです。それで博士は施設に入所して、毎日ベッドの上でただ天井を見つめた生活を送っていくわけです。そうすると、博士の友人・知人がだんだんお見舞いに来なくなる、あるいは、あの博士はだめだ、一緒にいても何の役にも立たないということで、どんどん離れていく。そういう境遇の中で、最後は家族にも見放されていくんです。愛していた大切な奥さんも去っていく、子供たちも皆去っていく。たった独りぼっちになっていくわけです。そういう経験をずっとしていくんです。

そして、色々な病気や障害の宣告を受けたあとの自分の心の働きを、生物学的見地から自分で分析していくわけです。そういう中で、博士はその難病から奇跡的に、どうしたわけか分からないんだけれども、奇跡的に機能を回復させてしまったわけです。そして再び大学の教壇に立って、講義をすることが出来るようになっていったんです。そしてまた、世界各国を回りながら、講演活動を始めたんです。そのあと、心筋梗塞という病気を飛行機の中で引き起こします。そしてまた入院して、ベッドの上で安静状態という状況の中で生活しなければならない、再びベッド上の寝たきり生活を余儀なくされてしまうわけです。しかしまた、博士は立ち直るわけです。そして今なお、世界各国の有名な大学で講演をされております。そういう先生です。今日は、先生がそういう病気や障害を持った時に、寝たきりにならないための心の働きがどのように大切なのかということを、先生の著書で有名な「500 分の1の奇跡」とか、「ヘッドファースト」という本の中で書かれていますので、お話しします。




次ページへ
「2.リハビリ教室講演録集」へ戻ります Home page(Top page)へ戻ります