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第4条 生活リハビリテーションとは? 第5条 生活のメリハリが大切です (厚生省指針より。一部改変) リハビリテーション科部長 斉藤裕 今回のタイトルは、今までと違う表現になっています。今までは「寝たきり予防のための10カ条」という形で書いてありましたが、「寝たきり」という言葉が適切性を欠いているのではないかというご発言もいただきまして、私もその言葉の内容を反すうしてみまして、そしてこの言葉に変えてあります。しかしながら、その寝たきり状態そのものが悪であるという意味ではなくて、寝たきり状態を作らざるをえなかった状態が非常に困ったことなんだということのように思うんです。寝たきり状態そのものは結果として起こってきているということであって、時々私がお話ししたと思いますが、体を使わないために色々なものがだめになってくるという「廃用症候群」というのがありますね。こういうものと同じ表現のひとつではあるんだろうと思うんですが、言葉の響きがあまりよろしくないというぐあいに思います。以後の私の話に関してはこの言葉を使っていった方がいいなと考えますので、そういうぐあいにいたします。ところが、ずっと今まで勉強してきたものの中に、本を読んだり色々な話を聞いたりしてきて、その根底にあるのはやはり「寝たきり」という言葉があるものですから、間違ってまた出るかも知れませんが、その時はどうぞお許し下さい。 そして「自立」という、寝たきりにならないために、自分がこれから自立をしていこうというためにどうしたらいいのかという話を、第1条からやってきたと思います。第1条では「脳卒中と骨折予防」という話をしました。それは、寝た状態を作らないためには脳卒中を予防するとか、老衰あるいは骨折、そういうものから寝たきりになっていくんだよという話をしました。第2条では「過度の安静というのは自立していこうというものを障害していくんだ」とか、第3条では「早期リハが大切なんだ、早期リハの重要性があるんだよ」という話を続けてきました。 そして第4条に入っていこうとするんですが、私がその言葉の表現を変えるに至った中で、現在なぜそういうような「寝たきり状態」というものがたくさん世の中に作られるようになったのかということを、歴史的にきちんと検討してみるという必要があるのではないか、なぜこうなったのかということをまともに考えてみたいという気持ちが私にあります。そしてそれを勉強しました。 その話を今日ここでした方がいいか、あるいはこの次に話すということにしておいて、第4条、第5条を進めた方がいいか。第4条の内容はどういうものかというと、「暮らしの中でのリハビリテーションというのは食事と排泄、着替えから」というような題です。生活リハビリテーションというものが大事だということです。第5条は「生活の中でメリハリが必要なんだ」という話です。 今日はその4条と5条を話すつもりでいるんですが、その話をした方がよろしいか、あるいは寝たきりというものから自立に向けてという中で僕が勉強してきて感じたことをお話しした方がいいか、どちらがよろしいでしょうか。両方を用意してきました。いかがでしょうか? はい分かりました。先ほどお話ししました「自立に向けて」、あるいは「寝たきりというものが起こらざるをえなかった状況は世の中のどういう変化だったんだろう」ということは、また機会を改めてお話ししたいと思います。それでは第4条と第5条の二つをいきます。 「くらしの中でのリハビリテーション」とは「食事」と「排泄」と「着替え」。こういうものの中でリハビリテーションというのは自然に行なわれていっているんだということです。あるひとつの行動、食事をとるという行動をとっても、着替えをするという行動をとっても、その人が持っている色々な力を総動員した結果出来ることであり、だから、こういう行動ひとつひとつが実際にはリハビリテーションそのものにつながっていることなんだということです。そしてこういうことは、入院している間に病院の中でも色々なリハビリテーションという形で行なわれていきます。かなりの強制力を持ちながらやっていっていますけれど。 そういうかたが退院して自宅に帰ると、病院で出来ていたことでも出来なくなっていくということがあります。出来なくなる原因というのは、ひとつには家の中の構造の問題が大きいのではないかという気がします。病院の中で歩いたり車椅子に乗ったりと色々なことが出来るのが、自宅に帰ると狭いし、段差があるし、というようなことが原因で色々な動作そのものが行ないにくいということがあります。そういうことが出来なければ結局しないで済んでしまうという環境の中にいるわけですね。しかし、しないで済んで、回りの人がやってくれる状態であればまだいいとしても、家の中に手助けしてくれる人が誰もいない場合には、ベッドの上で1日を過ごさなければならないという状態も出てくるだろうと思います。すなわち、「色々なことを出来る力をもっていながら、結局は出来なくなっていく」という、大変残念な状況が世の中にあるんですね。 そして、そういう物理的な環境が整っていないために、あるいは人的な環境が整っていない、すなわち自分に関わっている人間が少ないためにこういうこと(食事、排泄、着替え)が出来なくなっていくという問題は、それはまた別な面からも考えていかなければなりません。それは福祉の利用とか社会的な資源、そういうものを利用して色々改善していかなければいけないんだけれど、もうひとつはその人の体の面の問題も確かにあるわけです。 これは僕が第1回目の教室から話をしていることなんですが、その人が何かするにしても、手が充分に動ききらないで固まっている状態だとか、力がないとか、何かをやる時にも体力が落ちてしまっていて何かをし続けられないとか、そういう種類のことのために色々なことが出来なくなってくるという問題がありますね。 食事、排泄、着替え。少なくてもこの3つは手を使ってやることが多いわけですね。手を使って私達は食事をしています。手を使って排泄や後始末をしています。手を使って着替えをしています。そして、手というものをちゃんと使うためには「座る」ということが出来ないと手はうまく使えないという、またリハビリの最初の問題に戻っていってしまうわけです。 人は、赤ちゃんを見ていると分かりますが、5〜6か月前後の子供は座るために手を使っています。手を支えにしなければ座っていられないような時には、もちろん手を使って物事をやるということは何も出来ないわけですね。それから、体が変形したりバランスが悪い時には、手を使って支えなければ座っていられない。そういう時には、手を使って食事をしたり着替えたりということ自体が出来なくなってしまうわけです。 だから、座るということはものすごく大切なことになります。自立に向けて暮らしの中で行なわれるリハビリの中で何が具体的に大事になってくるかというと、やっぱりこの座るということが一番重要なんだなということになります。 座った状態をきちんと維持出来て、そして出来るだけ座った時のバランスを良くするためにはどういう座り方が良いのかというと、このように腰を深くして座って、足を床につけるということです。座面と床についている部分が大きければ大きいほど、より安定感が高いわけです。 反対に、こういうふうにちょこっと座ってベッドの上で足が浮いていたりする、ベッドが高かったり足が短かったりという関係で足が浮いたまま座っている場合があるんですが、それ自体が安定性が悪いために、倒れないようにどこかにつかまらなければいけないということが起こってきます。 もし足の高さがおかしければ雑誌でも何でも台として下に置いて、股関節も90度に曲がって膝も90度に曲がるぐらいの状態にしてあげれば、それだけで座っている安定感が高くなっていくから、色々なことが手でしやすくなるわけです。服の着替えもしやすくなるし、トイレに入って排便する時でも便座にちゃんと座っていられないとあずましく排泄がしづらいし、後の始末もしづらいということになりますので、出来るだけきちんとした座る状態を作りあげてあげることが大事なわけです。足が床にきちんと接して、お尻とふとももの裏側が座っているところにきちんと接してというように、出来るだけ接する面積を広くしてあげれば、座ること自体が大変安定してきます。 そういった座る状態があって、さらにそのバランスをもっと高めようとする時には、ある物をこっちからこっちへ移動させる訓練をします。お手玉でもいいですよね。そのように前後左右に体を動かしても倒れないようなバランスの訓練をしていくといいわけです。今話していることは病院でなくては出来ないというようなものではありません。自宅にいても出来るような種類のことです。 当然こういうことが出来るためには手が動いていないといけないですね。だから、手足が固まらないようにするためには、この病院でも習ったと思いますけれど、両手で支えながら両手を一緒に動かすとか、色々な関節を1日1回でも2回でもいいから動かすようにしていくということで、固まりを防ぐことがかなり出来ると言われていますので、そういうことを心がけていかれた方がいいと思います。 暮らしの中で色々なことが出来るためには、まず座っていられることが重要なんだということになります。そして、そういう種類のことをやっていく中で、自然にリハビリテーションというものが行なわれているわけです、自宅では。だから、そういうことに心がけてやっていっていただければいいかなあと思います。ここまでで何かご不明な点はございますか。 問:座るということですが、車椅子に座っていることとベッドに座っていることとは違うと思いますが、やはりベッドの上に座っている、支えのない状態を指すのですか。 答:どちらをとっても座るということが非常に重要なんですけれど、「支えのあるものに座っている場合」が「支えのないものに座っている場合」と比べてどう違うかというのは、「支えをとってしまえばまたすぐ手を使わなければいけなくなる」ということです。体のバランスが大変に悪いかたはまず、支えのあるものに座って練習をしていくのが大事だと思います。だから車椅子のようなもの、あるいは椅子でも後ろに寄りかかれる、あるいはひじ掛けがついているようなものでバランスを作り上げていくということが大事だと思います。そういうようなことをやりながらでも体を動かして、また元の状態に戻れるという状態を作りあげていけばいいわけですね。それがバランスの訓練になりますから。そうしたら少しずつ支えのあるものから離れていけるだろうというぐあいになります。 今、大変いい質問をいただいたんですが、座っているということは、人間が寝た状態から座る状態に変化した状態を指すわけです。寝た状態だったら心臓から頭、足先まで全部同じ平面にあるわけですから、あんまり心臓が働かなくても血は全身にめぐるわけです。ところがこうやって座っていると、低い所に血は降りていってしまって、高い方の頭には血が上らなくなってしまいますね。こうやって血圧の低下を起こすのが「起立性低血圧」で、寝たきりの人を起こした時にめまいをしたりするというものなんですね。 座った状態でいると、心臓がうんと働かなくてはいけないわけです。下の方に溜った血を上の方に吸い上げて、頭の方にまで持っていかなければいけないというポンプ作用を心臓が一生懸命行なうから、心臓が弱っていくのも防げるわけですね。寝たままの状態でいると筋肉も弱っていくし、心臓の働きも弱っていくし、息をすることも弱っていくし、座り続けるために必要な筋肉の力も弱っていきます。それから寝たままでいると、入ってくる刺激も少ないですよね。起きると刺激の範囲もずっと広くなります。寝たままで天井と横しか見れない状態でいるよりは、頭の活動も盛んになるだろうし、全ての面でいいわけです。 こういうぐあいにして、寝ることが続いてだんだんだめになっていく状態を、「廃用症候群」という言葉で表現しているわけです。その状態を「寝たきりの状態」という言葉で表現しています。こういう状態にいると全てのことを人にゆだねなければいけないですから、自立という方向にいくためにはそこから座る状態を通って、そこからさらに歩いて色々なことが出来れば自立に向かいやすいわけですね。 車椅子に座る時の、その車椅子がその人にとって本当に合っているのかどうかという、車椅子を見るポイントをちょっと話しておきましょう。 皆さんの乗っている車椅子はだいたい、標準タイプの車椅子と言われている種類のものなんです。それは、座幅(座る面の幅)が40センチを中心に42センチと38センチのものがあります。そして幅が違うと高さも違ってきます。皆さんが使っている中で一番多いものが40センチだと思います。 では、なぜ体に合っていなければいけないかと言うと、合っていなければ隙間があいて体が傾きやすくなってくる、そうするとバランスがとりにくい、そうすると手が使いにくい、手が使いにくいと車椅子で移動しにくいということがあります。 1.フットレストの高さきちんと後ろに座って、ももの裏に手を入れた時に、手の厚さぐらいの隙間ですね、手がさっさっと動くくらいのところまで足が上がっていればいいわけです、足を乗せる板(フットレスト)が。フットレストが高くなり過ぎていると、体と座面との接触面積が少なくなるから安定感が悪いのと同時に、お尻に目方が集中してかかってしまいますから、床ずれが出来やすくなります。フットレストの一番下には高さを調節するネジ(ボルトが多い)がありますから、それで調節して高さを変えてやって、いい位置を見付けるようにします。 2.腰とひじ掛けの間隔それから横の方ですね。腰回りと横のひじ掛けの間も手の厚さが行き交うぐらいにしておけばいいです。 3.体とスカートガードの間隔座った時に、横にあるスカートガードという板と体との間にこぶしが入るぐらいの隙間があいていると、やっぱり骨盤の座りが悪くなってしまいますから、そこは出来るだけ幅の狭い方がいいんです。少し広いものをお使いの時には座布団でも入れておけばいいんです。そうしないと骨盤が傾いたりして安定感がなくなり、その上に乗っている体の安定性が損なわれますから。 4.座面の奥行きそして、足の長さです。車椅子に座った時にどこまで足が前に出ていればいいかというと、座った時のふくらはぎと座面先端との間にこぶしひとつ入るぐらいの5〜6センチの幅があいているぐらいが、その人に合った車椅子の目安になっています。せっかくですから、誰かの車椅子をお借りして皆さんに見ていただくことにしましょうか。 車椅子の後ろには小さな袋がついています。新しい車椅子のその袋にはレンチが一緒に入っている筈です。ナイロンやビニールのケースに入って。そして、車椅子の足の高さを調節する場所というのはここです。ここのボルトを回すとフットレストを上下に移動することが出来ます。そしていい位置においてきちんと締めます。車椅子を手にした時は、レンチが入っているか入っていないかを確認して下さい。入ってなかったらすぐ車椅子屋さんに言ってもらって下さい。 今僕が座っている状態では、横幅は僕にはちょうどいいぐらいです。ただフットレストは僕にはちょっと高いですね。もう少し下がっている方がいいです。ただこれをあまり下げ過ぎると、外で使う時にフットレストが下にぶつかってしまうことがあります。この小さな前車輪はキャスターといいますが、この直径が小さいと路面にぶつかってしまうかも知れません。 それから、車椅子の後ろの下についている短い棒がありまして、これはもう皆さんご存知なんだろうと思いますが、段差のあるところをのぼろうとする時に、これを足で踏んで、こういうぐあいに上の段に前の車輪をのせるというものです。これを使って上げる方が、何もしないでただ上げるよりはずいぶんと楽です。車椅子のことでご質問はございますか。 問:2か月間くらい市役所から車椅子を借りましたけれど、大きくて体に合いませんでした。男の人の特別な椅子らしくて、体は踊るし、前に進もうと思っても進めない、そういう時にはどうしたらいいんでしょうか。 答:チェックしないで貸してくれる人が悪いのではないかと思いますが、とにかく大きさが合っていないと非常に動くにも苦労しますね。あたっているかたは片足で動こうとしますから、足が下につきやすい高さでないといけないですね。大きな車椅子に座って足を下につこうとするとずっと前に出て来ないといけないですから、そうすると危なくてとても出来ないですね。その時に座ってみて調整出来ましたか? それとも、これを使いなさいと与えられてしまって、選べなかったんですか? 問:選べませんでした。保健婦さんが持ってきてくれたんです。そうすると、これはいやだとも言えませんでした。あったものを持ってきましたと言う言葉が出ましたし。本当は労災病院から借りていったものが一番良かったんですが、病院の方では足りないということで、すぐ返しました。 答:保健婦さんの勉強会の時に僕もたまによばれていって話をすることがあります。車椅子の話も何回かしていますけれど、今度よばれた時にはまたいちだんと声を高く、そのへんをお願いしてみたいと思います。片方の足と片方の手で駆動しようという時は、足の長さがなかなか調節しづらいですから。 問:足の間にベルトのようなものがあったような気がするんですが。 答:ここにベルトがついているものもあります。本来の車椅子にはついている筈です。足がどちらかでも動く人はいいんですが、動かない人は足を置いておくと後ろに滑ってしまいますから足がつらいんですね。そのためについています。脳卒中の片麻痺のかたが車椅子で移動しようという時には、これがない方がこぎやすいですから、外している場合が多いですね。 問:車椅子に長く座っていると腰が痛いと言うんですが、足の高さが悪いということになるんですか。 答:座っている時の状態が不自然なんだろうと思います。ひとつには今言われたように足が高くなって、体がこういう猫背のような形になっているか、あるいは後ろにそり返っているか、そのどちらかなんだろうと思います。車椅子で腰が痛まないようにきちんと座る方法で一番いいのは、お尻が一番後ろまで届くということが大事ですね。その時の、体重の移し方をやってみましょう。 こう抱きかかえてしまうと危ないんですね。僕がいつもこういうぐあいにして下さいと言っているのは、この手をこういうぐあいに持ってこう持ち上げる。だから、腕を持ち上げるようにするんです。胸を圧迫しないで腕を持ち上げるということです。背中を離して端座位にしてから持ち上げると、本人に無理がかからないだろうと思います。肋骨を骨折するという事故も防げます。 問:私は右の膝の手術をしたんですけれど、6か月ぐらい歩いていなかったんです。歩き出したら、良い方の足の膝から下が指の先までひどく痺れて、だるくて、そのうち強く痛んでくるんです。そういうのは何と言うんですか。 答:良い方の足をずっと使わないと、良い方の足の筋肉はやせてくるし、関節の曲がりは悪くなるという状態になってきますね。そして人口関節を入れられていよいよ歩き始めたら、良い方の足も痛くなってきたということですね。それは、ずっと歩いていないために悪い足の筋肉がやせているのと同時に、良い方の足も使われていないわけですから、良い方の足の力も落ちているんですね。全体に力が落ちてくる。全体に力が落ちているにも関わらず、なおかつそれだけの体重を支持しようとすると、今度は腰に負担がかかってくるわけです。 足の筋肉が痛いのはもちろん、腰にも負担がかかってきます。ある年齢以上になってくると腰の骨にも変形を起こしてきて、「変形性の脊椎症」と言って骨がだんだんもろくなってきますから、そうすると無理がかかって、骨と骨との間にある椎間板などに無理がかかって、神経痛を起こしてくるようになります。そして、悪くない方の足に痺れがきたりというようなことが起こってきているんだと思います。寝ている時は体重は体全体にかかっているからいいんですけれど、起きるとこういうぐあいに縦にかかります。そうすると1個1個の背骨に体重がかかってきます。そうすると、その間にある椎間板が圧縮されてきますから、それが少し膨れ出て神経にさわりやすくなるということはあると思います。腰に何かをしっかり巻いて、コルセットでもさらしの腹巻きでも、和服の帯でもいいんですが、そういうのを巻いて訓練されるといいと思います。 和服を着なくなってきたので、日本人の女のかたに腰の痛みを訴える人が大変多くなってきていますね。昔は和服を着ているためにコルセットをやっているのと同じ役割をしていたみたいです。だから、腰のひどく痛い人が少なかったみたいですけれど。しかし、それだけではないかも知れませんね。昔の女のかたは、痛い痛いと言って休むことが悪いことだと見られていた時期もあるかも知れません。だからあんまり言えなかったという面もあるかも知れないけれど、和服を着なくなってから色々な症状が女の人に多くなっているということを聞きました。 朝おきて、先ずは着替えて身だしなみ。 寝・食分けて、生活にメリとハリ。 次に第5条というのにいってみたいと思います。これは「生活の中でメリハリが必要なんだ」という種類のことです。先ほどの食事とか着替えとか排泄とか色々なことをやることで、家の中でリハビリテーションそのものをやっていくことが必要なんだ、生活の中でリハビリテーションそのものをやっていくことが必要なんだ、だけれども、そういうことを、例えば食事も寝るところも着替えも全部同じところでやっているとしたら、その人が住む場所がベッドの上しかないということになって、それは色々な問題があるわけです。ですから、朝起きて着替えをして、出来れば食事は別なところで出来たり、少なくとも寝るところと起きているところをはっきり分けて、生活の場とする方が、1日ぼーっと過ごさないためにも大変重要なことだろうと思います。 今、色々とできているコスモスだとか中間施設とか、老人の入っている施設がありますけれど、そういうところは入院している場所と食事をする場所を出来るだけはっきりと分けて、生活そのものに変化をつけるという工夫が大変多くされているように見えます。 だから朝起きたらまずは着替えるということから始まって、身だしなみをきちんとしよう。きれいにお化粧をして髪もきれいにして、そして次には食事をする場所に行って食事を食べて、テレビを見て、というように場所のある程度の移動が必要だということです。これもしかし、日本の家屋の構造上の問題がやっぱりありますね。狭いということもありますし。 こうやって考えてみると、自立をしようと思っても、その自立を支えてくれる人がそばにあまりいないということが大きな問題ですね。それから、自分で動こうにも動くような構造になっていないんですね。家も狭いし。そういう種類のことというのが、やっぱり世の中の変化に伴って起こってきた結果であって、どうしてそういうぐあいになってきたんだろうというのはこの次にお話ししようと思います。話も硬くなってしまうので、じっくりと腰を据えて、僕の勉強してきたこと、あるいは僕の思っていることも皆さんに聞いていただきたいし、それから皆さんからも色々な意見を言っていただいて、僕の知らないことを教えていただきたいと思っています。 世の中、僕たちも少しでもそういうことを防ぐことが出来ればいいなあということのために、どうやったらいいかという知識を持つことも重要なんですね。実際にそれをやる手段がなければ知識を持ったって何もならないと言われたらそれで終りなんですけれど、知識があれば必ずどこかで人に伝わっていくだろう、そしてそれが広がっていくだろうと信じているものですから、だからここでこのようなお話をしていますし、我々の方の時間が許す範囲内で訪問リハビリという形でもやっているわけです。そして、さらに市の訓練事業に行ってリハビリ教室というところでもやっているわけです。いつになったらどうなって、やったことの成果がいつ見えてくるか分からないんですけれど、何かに引っ張られて僕はやっているわけです。だから、そういうのは何年間か過ぎないと目に見えないんだろうと思います。目に見えないけれど実際にこういうことを続けていけるのは、いままでこうやって半年の間、毎週、皆さんがこうやって聞きに来てくれているということが一番のはげみになるんです。だから続けています。これから先は憲先生も加わっていただいて色々な話を展開していきますけれど、また引き続き聞きに来て下さい。そうすると僕らも一生懸命勉強してやりたいと思います。これで今日お話ししようとした部分は終りました。 先日うちの作業療法士の山田先生が学会長になって、北海道作業療法士学会というのがマナボットでありまして、僕もシンポジストのひとりに選ばれたものですから行ってきました。色々な作業療法の先生方が北海道中から集まったんですね。色々な活躍をしているということが分かりました。それは、訪問地域リハビリテーションということを通して、あらゆるところに入っていって積極的にやろうという姿勢が見えるんですけれど、それと同様に僕ら自身にも大きな壁がありまして、こういう病院という組織の中に入って、そこに雇われてやっている人間なものですから、外に出て行ってリハビリテーションに関して何かをしようとする時には、大変に大きな問題があるんです。自分達がどんな意欲を持っていたって組織の枠に入っているわけですから、その許可が得られない限り外では出来ないということがあります。 ところがこのたび、僕たちが市のリハビリ教室に出向くということにあたって、うちの病院がそのへんでは大変理解を示してくれまして、僕たちが自分達の厚意で行っているというものではなくて、うちの病院の仕事の一環として行っているわけです。だから、大変行きやすいんです、仕事をしやすいわけです。だからその点ではこの病院は、地域の医療ということに対して目を向けている部分が−全部が全部ではないですけれど−あるというのは、我々リハビリテーションをやる人間にとっては大変嬉しいことなんですね。だからそのへんもはげんでいこうかなと思っています。 僕ばかり言いたいことを言っていますけれど、何か質問があったら言って下さい。それから、こういう話を今度もっとした方がいいんじゃないかということがあったら、どうぞ言って下さい。入ってくる時の出席の紙の裏が通信欄になっていますので、そこを利用していただいて書いて連絡してくれてもいいです。こういう話を聞きたいということがあれば、出来るだけそれにそうように勉強してきますから。今日はこれで終りにしたいと思います。どうもご苦労さまでした。有り難うございました。 本講演の印刷用ファイルのダウンロード(モノクロ)が可能ですが、 閲覧・印刷には「Adobe Acrobat Reader」(フリーソフト)が必要です。 配布は自由にされてけっこうです。必要なかたはどうぞご利用下さい。 印刷用ファイル ← ここからダウンロードしてください 釧路労災病院 リハビリテーション科 |