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看護部 (立田恭子・仲山克枝・太田志緒里) 寝たきり老人とは、『寝たきり症候群にかかった老人』のことを指しています。そして、寝たきりの状態・ボケの状態・排泄排尿などを失敗する状態などの特徴をもっているようです。 また寝たきり老人には、どうやら本物と偽物とがありそうです。病気そのものが重かったり、絶対安静を命じられたりすることにによる本物群。介護の失敗(過保護)、老人の心理的な挫折(自信の喪失・回復を諦めるなど)・看護者との人間関係の悪化・環境の変化などからくる偽物群とがあるようです。 それではここで老人の方の病気の特徴を見てみましょう。 1)若い人のように、はっきりした症状を示さないので、本人も周囲の者も気づかない内に病気が進んでいることが多い。 2)病気の原因が複雑で、手遅れになりやすい場合がある。そして、病状が急に進むことがある。 3)経過が長引くことが多い。 4)治っても体力がなかなか戻りにくい。 などの傾向が強いようです。 それでは、介護はどの様に心掛けるとよいのでしょうか。 《ゆっくりと》《親切に》《接する時間をなるべく多く》《自立心を大切に》をモットーに接することが大切であると思います。おいそれと人の気持ちは解らないものですが、自分なら“こうして欲しいな”と思うことをするようにすると良いのではないかと思います。 次に、高齢者の方がかかりやすい病気と心の変化などについて触れてみたいと思います。 1)血管・心臓のものとして:動脈硬化、脳梗塞・脳出血、高血圧、狭心症、心筋梗塞など 2)神経・感覚器のものとして:難聴、老眼、白内障、反射神経がにぶくなる 3)皮膚・関節のものとして:皮膚の痒み、関節の変形と痛み 4)消化器・排泄関係のもの:歯が抜ける、食欲不振、消化吸収力低下による便秘・脱水、頻尿・尿漏れ 5)運動機能に関して:骨折、骨粗しょう症、筋力の低下など 6)心・記憶・精神面に関するもの:不安、寂しがる、自己中心的となる、記憶力の減退、老人性うつ病、ボケなど これらの状態が如何に本人を苦しめ、そして社会的・肉体的・精神的喪失感がこれらのものを引き起こす大きな原因になっていることに、私たちは思いを馳せることが大切なのではないでしょうか。 このような方々が寝たきりになった時に、まず気をつけるべきことに、《とこずれ》の問題が有ります。これはひどくなると命に関わるものとして、まず何よりも予防が大切です。ではご自分の体を触ってみてください。骨が触れやすいところがありますね。例えば頭の後ろ、お尻の後ろ、腰の横、かかとの後ろなど、此のように寝た状態で圧迫を受けやすい部位には《とこずれ》が出来やすいです。 初めは“皮膚が赤くなる”だけですが、次第に“ただれたり”“黒ずんだり”“穴が空いたり”し、ばい菌が入るととても恐ろしい事になってしまいます。だから長い時間の圧迫を避ける事、湿気や不潔にならないように心掛けて下さい。その為には、よく観察することと体位交換が最も大切です。 さて、その次に心掛けねばならないことは、手足のマッサージや関節の固まりの予防です。長い間寝ていたり、運動不足のお年寄りにとって、血行を良くし、新陳代謝を促すマッサージはとても効果的であります。とこずれの予防や心身のリラクスに繋がり、またスキンシップによるコミュニケーションとしても大切です。お互いにリラックス出来ることが必要に思います。 マッサージは心臓に向かって“撫でたり・揉み上げたり”行うのが良いです。また“関節の固まり”の予防は、あなた自身で自分の手足を動かしてみて、その動きをあなたの手で再現してあげるとよいのです。指先の関節から体に近い関節まで。ここで首の動きはとても大切なものの一つです。それは寝返りをするときには、まず首が寝返る方向に向くことから始まるためです。従って、寝返りの出来ない人の中には、この首に固まりが来ていることもあるのです。一日一回でも二回でも首を前後左右に動かすことで予防出来ることが多いようです。 マッサージの仕方を図で示しておきます(これは労働福祉事業団健康保険組合発行(1991)の「安心介護と便利用品最新カタログ」(P.38〜39)から引用させてもらいました)。
最後に寝たきりの方の体の動かし方について触れたいと思います。 これには介護を受ける方、する方にとってやりやすいいくつかの形がありますので、覚えて下さい。
《介護を受ける方の基本姿勢 》(図-A.B.C) 1)交差腕組み:両腕を胸で交差し、手は肩におく。(図-A) 2)前腕腕組み:肘を直角に曲げ、手は左右の肘の位置におく。(図-B) 3)垂直の脚立て:両足をベッドに対し出来るだけ垂直になるように立て、両膝を高い位置にたもつ。(図-C) これらの型は、体を小さくまとめて操作しやすくする為です。
《介護する方の基本姿勢》(図-D.E.F.G.H) 1)首のV字支持:看護者の左肘で、患者さんの首をV字に支持する。(図-D) 2)片手交差支持:首のV字支持から、右手で患者さんの左肩を軽く持ち上げ、左手で患者さんの肩甲骨下部を支持する。(図-E) 3)垂直の腕立て:片手交差支持後、看護者の右手を患者さんの左胸部中央付近のベッドに垂直に立てる。患者さんを左手で抱き起こす形になる。(図-F) 4)膝の挿入:患者さんを左腕で抱きかかえるようにし、介護者は患者さんの後ろで膝立ち状態となりながら、起こしていく。 5)V字バランス:介護者は立ち上がり、肩を抱き、膝を抱えて患者さんの体をなるべく小さくV字にまとめる(図-G)。あるいは、 6)前腕腕組み握り: 患者さんの後ろに立ち、前腕腕組みをした患者さんの両方の腋の下から手を通して、順手で患者さんの前腕の肘近くを握る。 (図-H) このようにして、介護する人と介護される人の基本的な型を使っていろいろな場面で応用してみましょう!! 図のAからGまでの組み合わせからなっています。 1)横向き(右向き):膝ねじり法 顔を右側に向けます →右手が下になるように、胸で交差して組む →両膝を踵がお尻につくぐらいに高く立てる →右手を膝に、左手を左肩にかける →膝を手前に倒すと腰が回り、ねじれるように肩も回ってくるのでそれを手前に引くとよい。 「ポイント」 《腕を胸の前で交差して組む》 《膝を高く立てる》 《膝を倒すと腰と肩が自然にねじれてくる》 2)横向き(右向き) : 握手法 顔を右側に向けます →右手を胸の上に置く →左手同志で握手をし →斜め右下に引き寄せ、同時に右手で腰を手前にねじる。 上半身の移動と下半身の移動からなります。 1)上半身の移動 左の肘で首を支えながら、手は左肩のやや下の方に当てる →両腕は胸の前で交差して組んで一つにまとめる →介護者は患者さんを抱き抱えるように右腕をベッドに立て →その肘を延ばすと同時に患者さんの上半身を左手で抱え上げ、手前に引きます。 2)下半身の移動 左手はウエストから挿入して腰骨にかけ、右手はあらかじめ立ててある膝の裏に入れる →膝と腰を同時に手前に引きます。このとき、介護者の両膝をベッド脇に押し付けると楽です。 「ポイント」 《腕を胸の前で組む》 《右手で支柱をつくる》 3)腰上げ動作:便器の挿入やズボンの着脱に利用できます。 両膝を高く立て、足を軽く左右に開きます →膝に添えた手でひざ頭を足元へ押し出すと腰が上がってきます。 「ポイント」 《両膝を高く立てる》 左の肘で首を支えながら、手は左肩のやや下の方に当てる →左手をおなかに置き、右手はベッドの上で軽く外側に開きます →体を手前に引き込みながら頭がカーブを描くように起こします。 この時に、介護者の右手を患者さんの左膝に添えて、起こすと同時に手前に引き回すと、ベッドサイドに座ることが出来ます。 介護を受ける方に前腕腕組みの型をとらせます →介護を受ける方の後ろに回り、腋の下から両手を前に回し →前腕の肘に近いところを握り →自分の胸で軽く押し、介護される人を前傾させながら真上に引き上げるように手前に引きます。 「ポイント」 《両腕をしっかりと組ませて握る》 《前傾させる》 体を近づける →介護される方の手を自分の肩にかけさせる →介護者は腰を落として、手を組んで抱え込む →肩に相手の顔を乗せ →立ち上がる。この時同時に、組んだ手で相手の腰を伸ばすようにする。 「ポイント」 《指を噛み合わせるようにして両手を組む》 《前かがみをとらせる》 《腰を伸ばして安定した立位をとらせる》 全体を通して大切なことは、これからどの様な動作をしようとしているのかを相手に伝え、協力が得られやすくすることが大切であると思います。 どうぞ皆様も、お互いによいコミニュケーションを取りあいながら介護にあたってください。そのために少しでもお役に立つことが出来れば嬉しいです。
文責:リハ科 斎藤 裕
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