今月の旬

 

57回目の今月の旬、
これからも料理人の仕事と季節の風をお届けします。

レストラン ル ミュゼの最終回をお送りします。

 

 2006年 7月のテーマ 「 夏野菜 」

 「夏野菜」がテーマである。北海道もようやく暖かくなり、葉ものも多く出回るようになり出した。じゃがいもの花も咲き麦も色付きはじめるこのころ、なかなかいい季節である。個人的には花粉症も落ち着き、涙とくしゃみから解放される時期なので大感謝である。さて、登場する野菜、これがいろいろあり過ぎる。今、冷蔵庫の中には大根、玉葱、人参、ズッキーニ、インゲン、エノキ茸、アスパラ、水菜、セロリ、そんなものだろうか。あぁこんなに野菜ってあるんだ、そう思わせるテーマである。早速、出演者を紹介しよう。

コールラビ、ズッキーニ、ブロッコリー、ミニトマト、スティックブロッコリー、金時草、空芯菜、ミニエンダイブ、クロキャベツ、セルフィーユ、ワイルドルッコラ、マーシュ、アスパラガス、辛し水菜、ビーツ、ラディシュ、ディル、チャード、カリフラワー、スナックエンドウ、ニンジン、白カブ、菜花、オクラ、8月にはさらにゼブラトマト、インゲン、ササゲ、枝豆、サンマルツァーノトマト、パプリカ、茄子などなど増える増える。野菜売り場でもこんなにお目にかかれない、実験農場でも植物園でもない、少なくても20種類程が皿に盛られるという。

コールラビ

アブラナ科、カブキャベツともいう。茎の根元がカブのように大きくなりこの部分を食用にする。ビタミンA,Cはキャベツより多い

ズッキーニ

ウリ科カボチャ属、1980年代に入り日本でも登場、炒めものなどに利用

ブロッコリー

アブラナ科、花の蕾みを食べるキャベツの仲間。カロテンやビタミンが豊富

ミニトマト

ナス科トマト属、トマトはビタミン、ミネラル、カロテン、リコピンを含むアルカリ食品。近年はミニトマト、チェリートマト、プチトマトなどのミニが人気で生産量の一割を越えている。

スティックブロッコリー

アブラナ科、ブロッコリーの一種、細いブロッコリー。

金時草

キク科、キンジソウという名は葉の裏が金時芋のような赤紫色から、和名は水前寺菜。ビタミン、鉄分、カルシウムが豊富

空芯菜

ヒルガオ科、エンサイ、カンコンともいう。中国南部、東南アジアで栽培、料理されている野菜。茎が空洞でこの名がある。ビタミンA、Cカロテンが豊富

ミニエンダイブ

キク科、エンダイブは古代エジプトでも栽培食用とされていた野菜の古株、地中海沿岸原産。

クロキャベツ

アブラナ科アブラナ属、結球しないキャベツ、ビタミンやミネラルが豊富で葉は色濃く、縮れている。

セルフィーユ

セリ科、英名でチャービルとも呼ぶ。魚料理などにも多く用いられるハーブ。

ワイルドルッコラ

アブラナ科、ルッコラは地中海沿岸原産でビタミンCを多く含む。葉はゴマの風味がする。ワイルドルッコラは野生種で香りと苦味が強い

マーシュ

オミナエシ科、コーンサラダ、ノヂシャの名も。栄養豊富

アスパラガス

ユリ科アスパラガス属、新陳代謝を促すアスパラギン酸が多く含まれる他ビタミンA,Bなども多い

辛し水菜

アブラナ科、水菜の一種。生で食べると最後にわずかな辛みを感じる

ビーツ

アカザ科トウヂシャ属、砂糖をとるテンサイも同種。紅色のビーツがボルシチに使われる

ラディシュ

アブラナ科ダイコン属、ヨーロッパダイコンの一種。白、赤、紫、茶、などの品種がある。形も丸型のほか円筒形のものもある。根にはビタミンC、葉にもビタミンC、A、B、カルシウムなどが含まれる

ディル

セリ科、種子はパンやクッキー、魚料理、じゃがいも料理に使われる。葉も魚料理に使われる。古くから利用されてきたスパイス、薬草。

チャード

アカザ科、地中海沿岸が原産で、ホウレンソウの仲間。茎が黄色、赤、オレンジとカラフルなものがある。

カリフラワー

アブラナ科、ブロッコリーと同じく花蕾を食べるキャベツの仲間。花蕾の色は白の他、黄色、紫などもある。

スナップエンドウ

マメ科エンドウ属、エンドウ豆の一種、実が大きくなってもさやは堅くならず丸ごと食べられる。

ニンジン

セリ科ニンジン属、中近東原産で、日本には17世紀に伝播。ビタミンA、B、C、を含む。なかでもビタミンAの含有量は野菜中トップクラス

白カブ

アブラナ科、根・葉ともにビタミンCを含む。

菜花

アブラナ科、ナタネ油を採るためのナタネの茎・葉・花蕾を食用にしたもの

オクラ

アオイ科トロロアオイ属、アフリカ原産。カルシウム、鉄、カロテン、ビタミンCなどを含む

というキャスト。なんとも映画の大作のようだ。
実は食べるのはあっという間でもこれだけの種類が皿に盛られている、盛られているからには栽培している、大量生産とは別に小さな愉しみを育てている人がいる、ということに感激である。
知らないものとの出合いは好奇心を呼び起こし、経験することで理解を深める満足を生む。
その出合いを作ってくれるのが生産者であり、料理人である。
いや〜長々とやってしまった。
この辺にして料理との対面といきましょう。

 

 『 ミュゼのサラダ 北の大地のクリエイション』

 御覧のように様々な野菜達が、舞台である皿一杯に広がっている。生のままのもの、茹でたもの、茹でた後にバターをからめたもの、それぞれに良い具合の手を入れられている。調理法はシンプル、と言いながらも茎の太さを見ながら時間差で茹でたり、フライパンでバターをからめたりと、それが20種類もの野菜に及ぶ。洗うだけでも時間がかかるんだろうなぁ〜、まねしても2〜3種で止めてしまうんだろうなぁ〜などと考えてしまう。
 皿には手製マヨネーズ、フレッシュチーズソース、アンチョビソース、柚子胡椒ドレッシング、フランボワーズドレッシング、それにマルドンの海塩。野菜の出演者が多いだけではなく、からめるソース・ドレッシングも多い。酸味が心地よかったり、塩味がつい手を早く動かしたりと飽きさせない仕掛けが楽しい。
 ひとつ一つ野菜の味を確かめながら(名前も)食べる、微かな辛みや、甘味、苦味を感じながら。食感もいろいろでシャキシャキといっても野菜によって違うし、これは五感のメンテナンスにはもってこいなのかも知れない。感じる力が落ちている人は要注意、愉しみながら五感チェックをどうぞ。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2月から旬を伝えてくれたのはシェフ 石井 誠 氏 「レストラン ル・ミュゼ」のシェフである。2005年夏にオープンしたこのお店の空間は、シェフとシェフの想いをくみ取った建築家の仕事を見ることができる。
ソムリエでもあるシェフ
石井 誠 氏は専門学校で料理を学び、国内のホテルに勤務の後、フランス、イタリアを放浪、スペインで厨房に立ち、帰国後イタリアンのお店を経てエノテカの料理長となる。もともと体育・美術・技術が得意な学生であった石井氏、エンジニアの家系であったが突然変異なのか高校後の進路を料理の世界にしてしまう。料理を「表現すること」と考え、渡仏時期にルノアール、ゴッホ、マティス、シャガールなど多くの画家のアトリエを訪れる。美術の分野で生の文化に触れ、ゆっくりとした思索の時間を海外で持った石井氏、今は日々の料理に「絶対美」を反映させるべくひと皿ひと皿に向かっている。フレンチの技法をベースにしながら捕われず、縛られずに『石井』の料理を作る毎日なのである。その自由さ(石井らしさとでも言えようか)が日本古来の野菜を素材に使ったり、食材の持つ『美しさ』を皿に導くという心掛けを生んでいる。

 登場した料理『ミュゼのサラダ 夏 北の大地のクリエイション』7350円のコースのサラダ。また、ランチの2000円、3800円のコースでもミュゼのサラダを楽しめる。

 

    住所  札幌市中央区宮の森1条14丁目3ー20

    電話  011-640-6955

  営業時間  ランチタイム  11:30〜14:00ラストオーダー
        ディナータイム 18:00〜21:00ラストオーダー

   定休日  第1、2日曜日、第3、4月曜日

     URL   http://www.musee-co.com/ 

  

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松村 聡彦/スーシェフ
藤本 沙奈美/サーヴィス
土井 麻起子/キッチン・サーヴィス