今月の旬

もう64回になります、今月の旬
これからも北海道の旬を料理人の心と一緒に届けます

「 sarrasin bar dot 」(サラザンバードット)より最終回をお送りします。

 

 2008年 1月のテーマ 「 アンコウ 」

 

 「東のアンコウ、西のフグ」冬の魚の代表格を表す言葉だが、今回はこの「アンコウ」がテーマ。あんこう鍋、七つ道具、なんていうのは聞く言葉だがそうそうありつけない珍しい魚だ。いったいアンコウ、どんな魚なんだろう。
 アンコウ、英語では anglerfish 、口の上にある突起を揺らして近寄ってくる獲物を食べることから名前がついたようだ。という事は日本以外にもいるんだ。北大西洋にはニシアンコウがいて日本にも輸入されている。五十嵐氏に聞くとフランスでもアンコウは食べるそうで、食べない肝は自宅で調理して食べていたという。身も良いがフランス人は肝を食べないんだ〜もったいない、個人的にはフォアグラよりあん肝の方が好きかも…。
 さてもうちょっと詳しく。鱗のないアンコウ類は頭、口が大きくオマケのように体がついているような変わった形をしている。日本近海にいるクツアンコウ、キアンコウは体長1メートルにもなりまな板上で捌くには苦労する。そこであごの骨に鈎をかけて魚体を吊るし解体する独自の方法がとられるようになった。これが「アンコウの吊るし切り」だ。それでも大きくなければ吊るさないでもまな板で大丈夫だそうだ。
 それより昔ほど大きなものが捕れなくなってきている、と専門店の主が嘆いていた。乱獲の所為らしいが資源を大切にする事、海も汚さないようにする事いろいろ考えなければならない。海の生態系を壊さないように日々のゴミを減らしたり、ゴミステーションをきれいに使って風に飛ばされて川や海までゴミを飛ばされないように気をつけたり、身の回りで出来る事から気をつけたい。
 本題に戻ってアンコウの七つ道具のお話。七つ道具とは背骨とあごの骨以外は食べられるアンコウの食べる部位を称しての名前である。肉、エラ、肝臓(肝)、ヒレ類(とも)、卵巣(ぬの)、胃袋、皮で七つ。エラやヒレまで食べた最初の人はすごいなぁ。魚喰いの日本人ならではの食べ方なんだろう。アンコウの身は脂肪が少なく淡白だが、タラの身よりは旨味が強い気がする。肝は脂肪が多くビタミンAを多く含む。ヒレや皮にはコラーゲンが多くゼラチン質の楽しみがある。昔は内容成分などわからなかっただろうし、よくこのグロテスクな魚を余す所なく食べたものだ。改めて先人の知恵と勇気に感心するとともに感謝する。
 と、そろそろアンコウがどう料理されるかに話題を移そう。
今回は代表的なあんこう鍋ではなく、フレンチの五十嵐氏の手によってアンコウが料理される。
どうなるのだろう。
  
『 アンコウと牡蛎のカダイフ ビーツのクーリとタピオカのジュレ 紫キャベツのコンポテ添え 』
 相変わらず手数が多い。どこから説明すれば良いだろう。
タピオカをエシャロット、ベーコンと一緒にコンソメで長めに炊く。長めに炊くのはソースのように使うため通常より柔らかくするためだそうだ。一方アンコウの身は薄く叩いて牡蛎と先ほどのタピオカを包む。更に小麦粉、卵をつけカダイフでくるむ。そして揚げるのだ。カダイフとはもともとトルコのお菓子だそうな。小麦粉などをそうめんのように細い生地にして砕いたクルミと一緒に濃いシロップでからめたものらしい。その生地を今回は菓子ではなく料理に使う応用編ということなのだなぁ
 ビーツはピュレの手前まで仕上げたものに(これがクーリ?)魚の赤ワインソースを加えソースにし、紫キャベツはリンゴ、ニンニク、エシャロット、赤ワインビネガーで煮てビーツの鮮烈な赤より少し優しい紫色をそのまま生かして仕上げている。
 そう癖のない淡白なアンコウの身肉にタピオカの食感や牡蛎のコクを合わせ、油で揚げる事で水分を減らし味を濃くする。コンソメで黄金色になったタピオカとビーツと紫キャベツの色は目も楽しませてくれる。サクッと中を割ると透明感を持って白く火の通ったアンコウの身に牡蛎やタピオカが包まれている。切り身を焼いたものや、鍋に入っている身と全く違う味わいである。あん肝だけを礼賛するのは失礼だな、と改めてアンコウの味を堪能した。
 今回のお料理『 アンコウと牡蛎のカダイフ ビーツのクーリとタピオカのジュレ 紫キャベツのコンポテ添え 』はおまかせコース5000円の魚料理。1月中であれば美味しく食べられると五十嵐氏。ぜひ寒いうちにお試しあれ。
        
 
  
 
 
 
 

 

 さて、ほぼ1年ぶりで再開したこのページにつきあってくれたのは五十嵐光氏、30歳。sarrasin bar dot (サラザンバードット)のシェフである。苫小牧で30年近く焼き鳥屋を営む御両親の仕事を見ながら育ち、高校3年の夏に料理人の道を目指す。ホテルの厨房で6年、洋食を中心に和食・中華も学ぶ。その後スイスのサンモリッツ、ジュネーブ、フランスのニースなどで3年の修行を重ね27歳で帰国、現在に至る。なんと苫小牧東高出身、可愛い後輩であったのだ。
 
 左は店主 太田純一氏、予告通りなかなか良い男でしょ。
ちなみに私、男好きの気はないが、太田氏の清々しい笑顔と五十嵐氏の料理、男性女性問わず楽しめるだろうと思う。
学生時代ののアルバイトから接客業の楽しさを感じ、建築設備の仕事に進むも、いつか自分のお店を持ちたいと考えるようになったという。
24歳で転身、接客業の修行を積み、故郷の旭川でカフェバーを開店。昨年4月27日、札幌にsarrasin bar dot (サラザンバードット)をオープンした。『自分が行きたいお店』をコンセプトに、お互いが楽しく過ごせるように心掛けたいと話す。

 名前の通り蕎麦も食べられるバーで、ワインも特にシャンパンを豊富にそろえ深夜まで営業している。
仕上げの蕎麦も捨てがたいが、早い時間から五十嵐シェフの料理で楽しみたい。
ちなみにせいろが740円、エスプレッソが530円、カクテルも630円からといろいろな場面で楽しめる幅が嬉しい。
お店のブログはこちら 
http://www.hfweb.jp/dot/

 

    住所  札幌市中央区南3条西3丁目1 プレイタウンふじ井ビル8階

    電話  011-222-0733

  営業時間  18:00〜4:00

   定休日  月曜日

        

  

 

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