今月の旬

はい、75回目です
これからも北海道の旬を料理人の心と一緒に届けます
「 magari 」(マガーリ)からの5回目
宮下輝樹氏のメッセージです
お楽しみに

 

 2008年 12月のテーマ 「 エゾ鹿 」

 

 鹿、エゾシカが今月のテーマ。
ロケで札幌から帯広方面に自動車で移動中、不幸にも交通事故にあったシカを見た。
あんなに大きな体を横たえ大きく目を開き苦しそうな末期だった。
普段は機敏なのだがよく見ずに路上に飛び出してしまったのか。
辺りには見当たらないが当たった車も相当な被害だったろう。
鹿が増えすぎて農産物や山林も被害を受けているというがこれは可哀想過ぎる。
速度の出し過ぎ、要注意である。
交通事故が可哀想で、猟で殺して食べるのは可哀想ではないのか。
その問いにはこう答えよう、もちろん可哀想だが無駄死にではなく食料として大切にいただくのだ。
鹿だけでなく普段、豚や鶏や牛や羊の命もいただいている、動物だけでなく植物の生命も同じく、である。
命をいただくことで生かされている自分は一日一日を精一杯全力疾走することで贖罪しようと。
そして食料をもったいなく美味しく食べる知恵が料理だと考えている。
最高の愛情表現のひとつでもあると。
 
思い切りの脱線から始まるのだが、まぁご勘弁を。
毎度のこと美味しいお話をしながらも、自分を見失わないようただ美味しいだけでいいのかと問いかけている。一皿に愛情を込めてもらうこと、それを受け止められる自分でいられるように研ぎすますこと。
75回も続けられているのは、理解ある登場してくれた料理人と皆さんの声のお陰様である。
本当に感謝。
これからも地元の産物に向き合う美味しい料理の仕事、これを写真に収められるように続けて行く。
よろしくお付き合いいただきたい。
さて、先月に続き、大地の恵み、今回は鹿肉を宮下氏はどんな料理にするのだろう。

 

  

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『 エゾ鹿のカルネサラータ 』
 今回の話はこの21年北海道に戻って口にした鹿肉の中で飛び抜けて美味しかった鹿肉が発端。そもそも、この鹿肉「ハーベストロードハウス」という旭川市の郊外でフレンチレストランを営むシェフの食材である。ご縁があって昨年取材したときにシェフのエゾ鹿肉料理を味わい、そのクセの無さ、美味しさに触れ驚いたのだ。先月再び取材でお伺いしたときに昨年の驚きをシェフに伝えると、自身で育てたポロネギ、セルリアックとともに鹿肉をいただいた。「モモだから固いよ」と、とんでもない、強烈な獣臭もなく素直にエゾ鹿の味わいを感じることの出来る肉で、magariの宮下シェフと話をしていたときに急追テーマにすることを決定したのだ。
 ハーベストロードハウスのシェフ、宮下氏は(両氏とも姓が宮下である)二十数年前から手に入らない野菜を自身で育て、ジビエの時期にはライフルを持って山に狩りに出る料理人なのだ。氏は料理の素材として使うためエゾ鹿の撃ち処、血抜きなどの処理に細心を払い、肉を最高の素材に昇華させている。一方、magariの宮下シェフは子供の頃、故郷で父上の友人のハンターが撃ってくる新鮮なエゾ鹿肉を体験していた。エゾ鹿のレバーでレバ刺しを普通に食べていたという。エゾ鹿、地の食べ物、恵みである。

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

  

 さて、塩漬けの作り方をまとめよう。セージ、ローズマリー、ニンニク、クローブ(丁字)を粗みじんにする。黒胡椒、ジネープロ(ネズの実)、オーストラリアの天日干し海塩を粉末にして合わせる。ローリエは千切ってこれも一緒に、塩の量は肉1キログラムに30グラム。この香る塩を肉の断面ではなく側面に塗り容器に入れて冷蔵庫で保存、時々ひっくり返して完成である。長期保存が目的ではなくフレッシュな食べて美味しい塩漬けだ。完成してからはこれ以上酸化しないように密封して冷凍に。酸化防止剤や保存料を使わず、塩の量も増やさずにフレッシュに食べるための仕掛けだ。
 

 

 

 完成した塩漬けを薄くスライスしてトレヴィス、ディル、カブのピクルスと一緒に盛り、バルサミコとロディジャーノチーズを仕上げに添える。フレッシュなエゾ鹿は酸化して生じるひねた香りがせず、肉で野菜を包んで食べるとちょうど良い塩味である。トレヴィスの苦みが口の中でちょっと走り、エゾ鹿の肉の味、塩味が広がる。白ワインもビールも合う前菜だ。取材中ゆえ飲めなかったのが残念…。後日食べた時は白ワインを合わせた、旨い…。
  

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

『 エゾ鹿のカルネサラータ 』は1800円、前菜の一品
塩漬けはエゾ鹿の良い状態の肉が入荷したときのみ制作。
フレッシュの塩漬けは牛のランプやイノシシのものがある場合も。
要確認、予約が必要。

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「magari」は2006年9月にオープンしたイタリア料理のお店である。シェフは宮下輝樹氏。道東の幕別出身、幼いころから料理が好きで、19才から本格的に料理の道を歩みだし、テルツィーナの堀川さんと出会う。もう6年も前、テルツィーナ時代の2002年にこのページでも登場してくれたのだ。あれからまたイタリアでの修行、東京・アロマクラシコ、札幌・クレシェンテなどを経て magari のオープンとなる。
 常に素材に着目していて、電話をしたら襟裳町だったりニセコ町だったりと産地へ実際に足を運び、生産者との会話を大切にしている。この想いは一皿一皿に現れ、お店を訪れる人を楽しませる。宮下氏の料理をする時の楽しそうな顔がとても印象的である。
 その日に入荷した厳選素材で組み立てるコース、旬のおまかせコースは5500円、8000円から(2名様より)

 

    住所  札幌市中央区南11条西20丁目2−26

    電話  011-552-8172

  営業時間  ランチ  11:30〜14:00
         ディナー 18:00〜21:30

   定休日  火曜日  

 

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