今月の旬

さて81回になりますこのページ。
これからも北海道の旬を料理人の心と一緒に届けます
「 magari 」(マガーリ)からの11回目
宮下輝樹氏ご好意により12回・1年の長期連載でしたが
今回を入れてあと2回
残りもう〜んとお楽しみください

 

  2009年 6月のテーマ 「 ウニ 」

 

  

 昔一度登場した事のあるウニ、以前はすすきのの鮨屋「うえの」さんでの登場だったが、今回はイタリアンでの登場。当然以前とは違う料理での掲載になる。春から秋が美味しくなる中で一番旨いのが初夏とされる。北海道は春にオホーツクで漁があり、この時期は日本海側で漁期を迎える。冬は道東で漁期があり年中食べる事が出来るが一番美味しくなると聞けばこのタイミングを逃すわけにはいかない。
 鮮度落ちでは匂いが気になるが、アルコールやミョウバンを使っていない塩水ウニを使っている宮下氏、どうやって調理して一皿にするのだろう。前置きは早々にして早速お見せいただこう。

 

 

 

 

 

 

 取材時の magari はオホーツクのウニと古平のウニのちょうど切り替えのとき。宮下氏は「エゾバフンウニの甘みも良いがキタムラサキウニの香りも良いですよ」と語ってくれた。そうそう食べ比べる機会も無いのでふ〜んと聞いていたのだが、幸運にも両方を試食させてもらう事が出来た。食をそそるエゾバフンウニの濃いオレンジ色、これは絵になる色で周りのものから視線を独り占めしてしまう。食べても濃く旨い。これに対してキタムラサキウニ、色はエゾバフンウニに比べ白く頼りなげな気もするのだが、そんな印象も最初だけ。口にするとエゾバフンウニに負けず劣らず濃厚な、そして甘みがある。磯臭さなどなく、何とも上品な香りである。
 ウニのご飯である昆布は産地で種類も味も違うのだからウニの産地で味が違うのは想像が容易いし、殻から出して塩水に浸ける技量や鮮度など様々な要因で味は微妙に変わるだろう。とっても繊細な存在で注意深く口にするとその違いを感じ、楽しむ事が出来る。もちろん料理となって登場するにはその調理も味を左右する大きな要因となる。なんだか時期になると「ウニ〜!」と浮かれていたが深い世界が見えてきた。でも深刻に考えてどれが一番かというより、あっちこっちでうまいウニに出会える楽しみを感じて欲しい。

『 白海胆と丸ナスの冷製カッペリーニ 』

 丸ナス、脇役だけどなかなか素敵な存在である。皮をむいて半割にして低温の油で素揚げにする。丸ナスは長ナスに比べて身が詰まっていて余り油を吸わず自分の水分で蒸される感じになる。その後アサリでとった出汁で煮て揚げ浸しに、この時点でフワフワ、トロトロになっている。アサリの出汁の力を想像するとこれだけでも美味しいのが予測できる。
 このナスを割いてボールでウニも和えてパスタを待つ。パスタは氷水や水で締めずに湯を切り、キッチンペーパーで水気をとり外から氷で冷やした先ほどのボールへ。暖かいままウニなどの旨味を吸いつつパスタは冷めていき全体がまとまる。
 ウニとナスの存在がとても曖昧で、口にするとその二つの食感の境目がわからない。その境目を楽しみながら他にも香り、甘み、コク、塩味などを感じる。いや〜楽しい。「ナスってこんなに変わるんだ〜。ウニ旨い〜」声に出しそうな楽しさである。こちらはキタムラサキウニである。
 同時に作ってくれたエゾバフンウニ、こちらは鮮烈なオレンジ、オホーツクのものである。こちらも美しい。キタムラサキウニにはない香りがあったり、これも違いを感じながら堪能。どちらも微妙に違う旨さである。
 
  
 
 
 
 
 
 
「白海胆と丸ナスの冷製カッペリーニ」
アラカルトで2200円
現在はオホーツクのものから日本海のものに。
ウニの漁模様、入荷状況により出来ない場合もあるので予約時に確認を。

 

 

 

 

 

 

 

 さて、前回も登場してくれた厨房スタッフの小松健哉さん。magari唯一のA型のスタッフであることは前回お伝えしたが、今回は北海道を離れ、九州のマンゴーをモチーフに再登場。小松さん曰く、「日本でもマンゴーを作っていて、なかなか美味しい」そうだ。フィリピンのペリカンマンゴーはスーパーマーケットでも見られるようになったが、今回のマンゴー、卵のようでアーウィン種という色も綺麗なもの。俗名をアップルマンゴーと言い、日本で栽培されているのはほとんどがこの種類だそう。北海道でも栽培している人がいるというから驚きだ。ビニールハウスなどで作っていて暖房しなければならないからきっと高いんだろうなぁ〜
 『 アップルマンゴーのジェラード パッションフルーツのソース 』
 甘みが強いアップルマンゴーのジェラードに白ワインとバニラ、アニス、黒胡椒のゼリー。酸味の利いているパッションフルーツ、下には生のマンゴーも入っている。パインミントとパイナップルをトップに飾って完成。
 甘いマンゴーに酸っぱいパッションフルーツ、仲を取り持つのは香る複雑なゼリーである。もう一つ、パッションフルーツの種もアクセントに一役買っている。小さなグラスにいろいろな印象を内包し、食後の満足を演出する。
憎いね〜!
このメニュー、8000円コースのこの日のデザートからで、いつもあるとは限らないそう。どうしても食べたい人は「予約をしてからお願いします」と。楽しい食卓になること、請け合いである。

 

                

 

 

 

  

 

 

 

 この4月で27歳になった小松さん、高校時代から食べる事、接客に興味を持ち、将来の進路を料理に決める。高校卒業後は専門学校に学び、堀川氏のイタリア料理の講義で料理の楽しさを感じ、19歳からタベルナ ラ・ピアッツァで修行。東京でも修行してから帰札、そしてあこがれの宮下氏のお店 magari にこの4月1日より勤める。一見落ち着いて歳より上に見えるかもしれないが、笑うと爽やかな好青年。どんどん勉強・吸収して日々楽しそうな小松さん、集中して盛り込む時の横顔もなかなか、これからも楽しみな料理人だ。
  

 

 

 

 

  

 「magari」は2006年9月にオープンしたイタリア料理のお店である。シェフは宮下輝樹氏。道東の幕別出身、幼いころから料理が好きで、19才から本格的に料理の道を歩みだし、テルツィーナの堀川さんと出会う。もう7年も前、テルツィーナ時代の2002年にこのページでも登場してくれたのだ。あれからまたイタリアでの修行、東京・アロマクラシコ、札幌・クレシェンテなどを経て magari のオープンとなる。
 常に素材に着目していて、電話をしたら襟裳町だったりニセコ町だったりと産地へ実際に足を運び、生産者との会話を大切にしている。この想いは一皿一皿に現れ、お店を訪れる人を楽しませる。宮下氏の料理をする時の楽しそうな顔がとても印象的である。
 その日に入荷した厳選素材で組み立てるコース、旬のおまかせコースは5500円、8000円から(2名様より)

 

    住所  札幌市中央区南11条西20丁目2−26

    電話  011-552-8172

  営業時間  ランチ  11:30〜14:00
         ディナー 18:00〜21:30

   定休日  火曜日  

 

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