今月の旬


ちょっとお休みいただいておりました「今月の旬」
今回は趣向を変えてお送りします
「秋の生鮭を勉強する会」
みんなで鮭料理に舌鼓を打ちました
その中からお伝えします
料理人は2007年10月に「鮭」をモチーフに登場してくれた五十嵐光氏
現在は「ビストロ ドゥージェム カンパーニュ」の料理長として活躍中です
定休日を解放して迎えてくれた今回、
久々の登場でいったいどういう事になりますか
ゆっくりお楽しみください

 

2009年 10月のテーマ 「 鮭 」

 

 今年も8月24日から各地域で解禁された秋鮭漁。昨年は例年の6〜7割の漁獲高で価格高騰と聞きました。今年はさらにその3割減という予測もありましたが、北海道の各地区で昨年を上回る水揚げになっているようです。昨年の不漁の原因は不明。4〜5年前の北太平洋やアラスカ沖の低温で稚魚が育たなかったとも言われています。今年は海水温が高いため鮭が寄り付かない事も考えられ、昨年の中期以降が不良であったことからもまだまだ予断を許さない状況のようです。
 ここで、秋鮭のお話。アキアジ、アキサケは秋期に河川に回帰するもので、沿岸域で定置網によって漁獲されます(網を使った漁はトロールや巻き網のように移動して漁をするものと箱網や刺し網などを固定して漁をするものがあり、後者が定置網に分類) 河川に遡上するものは婚姻色といわれる縦縞状の色の帯がでます。この鮭はブナザケと呼ばれ味は落ちるとされます。これは母川に回帰する途上にはほとんど補食しないためだとか。ブナザケは婚姻色がでて、顔付も鼻が長く曲がってきます。ハナマガリはそれでついた名でしょう。対して本州に戻るシロザケが北海道の定置網にかかったものはメジカと呼ばれます。遡上まで間があるために鼻がまだ伸びず目と鼻が近いからメジカの名前がついているんですね。成熟して補食しなくなる前なので美味しいとされるのには納得です。
 オホーツク海で獲れるメジカも評価がありますが、日高・襟裳海域で獲れる鮭もいろいろな群が回遊し、美味しいものが水揚げされることも知られています。その代表的なブランドが『銀聖』。生きたまま定置網で漁獲しすぐに港に戻り、その鮮度の良いものから脂ののった3.5キログラム以上のものだけを銀聖とするそうです。水揚げの現場では「これも良さそう」と思うものがドンドン弾かれて、ほんの一握りのみが銀聖とされていました。ブランドを守るための船頭さんの厳しい目が印象的でした。
 日本ではオホーツク海北部、根室海峡を含むオホーツク内南部、襟裳岬以東太平洋、襟裳岬以西太平洋、日本海の北海道5集団と本州の太平洋側、日本海側の2集団が認められています。
 正確な水揚げの推移などは新聞や水産庁の発表に任せて、ここでは気になる事を一つ。
水温が上がっても下がっても生息域が狭くなったり、餌となる生物が育たなかったりと大きく鮭の水揚げが変わります。
世界的な気候変動が産業自体の存続を大きく変えてしまっているのです。
今回のモチーフである鮭だけではなく他の魚、農業、林業でも影響は目に見えつつありますね。
是非、温暖化防止に皆さんも一役買って下さい。
日々、天気や風に負けそうな意志の弱い私ですが、今年は自転車と長距離出張の鉄道利用で過去平均比12%の二酸化炭素削減を達成出来そうです。(自分との戦いは少々恥ずかしいのですが、いつもこの戦いに戻って来てしまいます)
 また風で海にゴミが集まるそうで、それを餌と間違え食べてしまいウミガメや海鳥や深海魚にも影響が出ています。
通常と違う生物の死が食物連鎖を崩し生態系を壊しているのです。
「なんとかしたい」そんな思いで身近で出来ること、近所のゴミステーションの清掃をしています、匂いや汚いのも嫌ですしね。
でも忙しい中、バタバタと一人で掃除していると「何やっているんだ、俺」なんて思ってしまいます。
仕事の効率や優先順位を考え、迷いも生じます。
でも仕事だけの効率や目先の優先順位の世界に捕われる自分に笑ってしまい、危機を感じているのに何もしないのは恥ずかしいとまた奮起。
「こんな風にやってますよ」とか「こうすれば」とか皆さんともあれこれやり取りが出来ればと思います。
やり取りから元気をもらい、また
前に歩けますから。
 身近な「食」や「生活」と「環境」、実はこんなに近いんだと実感する今日この頃です。
 
 さて、今回は取材ではなく普段お仕事などご一緒させていただいている方々と共に鮭料理を楽しみ、鮭談義するという形で進めました。写真は乾杯の御発声をしていただいた北海道日高乳業の水戸所長、留寿都の竹内さんのジャガイモで協賛もしていただきました。左の写真は料理長の五十嵐シェフ、30人分の料理と一皿ごとの料理の説明で大忙しでした。
 会場にはカメラマンも4人、くじで撮る順を決めそれぞれが自分の皿を撮影、この場でこの競作をしようと試みました。ここから先はその写真を眺めながら鮭に想い馳せてください。惚れていただくと嬉しいですね。

 

 

 

 

 

 

『 銀聖のタブレ、蜂蜜風味の鮭のパウダー 
       撮影者 本田写真事務所 本田 匡
       honda@phoenix-c.or.jp

 株式会社マルデンの「銀さし造り」という刺身用の鮭とパプリカ、ズッキーニ、ニンニク、玉葱、トマト、コリアンダー、ミント、クスクスを合わせたもの。パウダーは北海風おがわの大辛の熟成塩鮭を使用。蜂蜜とノイリープラット(フランス南部のマルセイラン生まれのドライベルモット、カクテルのマティーニも有名だが魚向けのソースにどの白ワインより合うと評されている)でほぐした鮭を炒って作成しています。
 

 

  

    

  

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

  

 

  

 

  

『 鮭のスープ ド ポアソン 
       撮影者 photo dressing 田名辺 篤史
        dressing@topaz.ocn.ne.jp 

 石狩の鮭を使って制作。スープ ド ポアソンと同様にルイユを浮かべて一緒に楽しみます。見た目の濃厚さとは全く違うシンプルな、でも優しいコクのあるスープでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

  

 

 

  

 

 

 

『 銀聖のカダイフ巻き、リー ド ヴァンのソース 
       撮影者 有限会社スタジオ・アイ 阿部 雅人
       abe@studio-eye.com

 大量の赤ワインで鮭のあらを煮詰めて、ビーツのピューレを入れてソースに。鮭は銀聖のオス、これをベーコンで巻いてからカダイフを付けて揚げています。ソースに丸いものがっ!イクラがここに!と思いきやタピオカでした。食感で、いや、味で気がつけよ〜、いえ食べる前に思っただけです、ハイ。 
 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

  

   

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

   

 

 

 

 

 

  

 

『 軽いスモークチェッド
   シャドークィーンの軽いスモーク
        イクラのヴィネグレット
 』
     撮影者 photo dressing 田名辺 篤史
     dressing@topaz.ocn.ne.jp

 鮭は香草、香辛料、塩で一晩漬けて、次の日に桜のチップで軽くスモークして香りを付ける。イクラも一晩塩漬け、次の日に塩抜きしてから潰してオリーブオイル、レモン汁、ケッパー、ニンニク、エシャロット、トマト、パセリ、セルフィーユ、エストラゴン、ディルを入れてソースに。使用した鮭は銀聖のメスとそのイクラ。

 

  

 

 

  

 

 

 

 『 メジカのグリル イカ風味の大根のピュレ添え 
       撮影者 金子寫眞製作所 金子 光博
       kaneko_p_f@mac.com

 オホーツクのメジカのグリル。大根は魚のスープで煮てイカスミを入れて生クリーム、バター、イカのフリカッセ、バジル、パセリを入れてソースに。
 私見であるが私にはこのメジカが一番身質が緻密で旨く感じました。素直なグリルという調理方法が一番普段の舌に合っていたのか、それとも旨さを感じたのがその鮭の味わいそのものなのかは判断がつかないのですが、お腹がいっぱいになってきたのに「あっ!」と思った一皿でありました。

 

  

 

 

 

 

 

 

『 クレーム オ ショコラ ルバーブのソルベ 
       撮影者 本田写真事務所 本田 匡
       honda@phoenix-c.or.jp

 これには鮭は使われておりません。ソルベのルバーブは本田写真事務所の実験農場の産物。五十嵐シェフに使ってもらいました。爽やかな酸味を上手にソルベに仕立ててくれました。クレーム オ ショコラも旨し、これで終わりですよ〜というサインを胃袋に送り込みます。

 今回の鮭はそれぞれに記したように日高の銀聖のオス、メス、オホーツクのメジカ、石狩のオスと三つ産地のものと日高のみオスとメスを使用しました。「こんな調理法ならばこの地方のこんな鮭を」などと考えていましたが、皆それぞれに身の緻密さや脂ののりが違い甲乙つけがたいものでした。オス、メスもシシャモやシャコほど大きく違いがわからず(私の舌の所為かもしれませんが)美味しくいただけました。スーパーマーケットの売り場で身にオス・メスの表示をしていないのも理解出来ます。お刺身などで食べない限りわからないのでしょうね。
 総論、塩で熟成した山漬け、新巻などの塩鮭も旨く、ご飯が恋しくなる代物だが鮮度の良い生鮭を冷凍せずに食べられるのはこの時期だけ。塩がしていないだけにいろいろな調理法でいただくことが出来る。家庭であれば1本丸ごと手に入れて切り身にしてムニエル、シチュー、自家製スモークサーモンもよろしい。中骨についてしまった身を丁寧にほぐし、五十嵐シェフのようにはいかなくてもフライパンで鮭フレークもできる。アラは三平汁かなぁ〜。1本でなくても切り身でいろいろ、プロの仕事を参考に愛する人のためにちょっと凝った家庭料理はどうだろう。1年でこの時期のみならば、美味しく、そして有り難く鮭の命をいただいて日々の元気の糧にしてはどうだろう。

 

 

  

  

  

  

  

  

  

  

 

 本当にこんな素敵な人たちに囲まれて美味しい勉強会を開けたことを幸せに思います。
良い笑顔でしょ、皆さんの笑顔、私の元気になります。
またお会いしましょ
ありがとうございました。

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここでお店の情報も
  Bistro 2'eme Campagne
  ビストロ ドゥージェムカンパーニュ 
   札幌市中央区南3条西5丁目 三条美松ビル2階
   011-231-3940
三舩店長、また協賛いただいた株式会社マルデンさま、有限会社北海風おがわさま、水戸さま、本当にありがとうございました。

  

 

  

 

 

 

協賛社情報
株式会社マルデン
北海道幌泉郡えりも町字笛舞14番地
  TEL 01466-2-2276 
  北海道札幌市中央区北12条西23丁目1番4号 MDビル
  TEL 011-622-5566
  http://www.marude-n.co.jp/
有限会社北海風おがわ
北海道枝幸郡枝幸町岬町408-11
  TEL 0120-80-4102
  http://www.kitakaifu-ogawa.jp/
北海道日高乳業株式会社
北海道沙流郡日高町富川東2丁目920番地
  札幌営業所/札幌市白石区菊水5条1丁目8-21
  TEL 011-816-2522
  http://www.hidaka-milk.co.jp/
   
ワイン情報
松原農園
北海道磯谷郡蘭越町字上里151-8
  Tel/Fax  0136-57-5758
  http://web.mac.com/matsubara_kenji/Matsubarawine/Home.html

 

  

サケ科のさかな
名前
特徴
別名
シロザケ
日本中部からアメリカまで北太平洋に広く分布。タイセイヨウサケに対してユーラシア大陸東部のアジア諸国ではシロザケを中心にタイヘイヨウサケとしている。 アキサケ、アキアジ、トキシラズ、トキ、トキザケ、ギンケ、ブナ、ブナケ、ブナザケ、ホッチャレ、ハナマガリ、メジカ、ケイジ
カラフトマス
北太平洋、ベーリング海、オホーツク海、日本海に分布するサケで体長70cm以下の小型種。繁殖期にはオスの背が隆起し、そのためにセッパリマスの別名がつく。栄養面ではシロザケより優れているが、脂肪が多くて水っぽく缶詰や山漬などに加工される事が多い。 セッパリマス、アオマス、マス、ピンクサーモン
ベニザケ
北緯40度以北の北太平洋、ベーリング海、オホーツク海に分布。肉の赤色が濃く、この色はカロチノイド色素の含有量に由来する。シロザケの筋肉100g中0.4mg、サクラマスの0.8mgに対してベニザケは2.6mgである。繁殖期には婚姻色の赤色が頭部をのぞく全身に現れる。またオスはカラフトマスのように背が隆起する。
河川生活型/ヒメマス
キングサーモン
冷水を好む北太平洋の河川に遡上するサケ類の大型種。北海道の太平洋沿岸で漁獲されるが日本の河川に遡上はしない。サケ属の中では水分が最も少なく脂肪分が最も多い。 マスノスケ、オオスケ
ギンザケ
日本の近海にはいない種でカムチャッカ半島から北アメリカの北太平洋に分布。シロザケに似ているが背中から尾にかけて黒点がある。日本では受精卵を輸入して淡水、海中で飼育したものが出回る。
ギンマス
アトランティックサーモン
ヨーロッパ原産で、ノルウェー・チリ、カナダ、イギリス、ロシア、オーストラリアなどで海中養殖されて日本にも約2万トンの輸入がある。
タイセイヨウサケ、ブラウントラウト
サクラマス
サケ属の中で漁獲量が最も少ない。富山では鱒寿司が作られ、札幌では北海道神宮の例大祭のころが旬。成熟したものは脂肪が20%もあり味の評価は高い
河川生活型/ヤマメ
サツキマス
サクラマスの亜種。5月頃に遡上するのでサツキマスの名前がつく。神奈川県以西の本州太平洋岸と四国、九州北部に分布
河川生活型/アマゴ
ニジマス
カムチャッカ半島からメキシコ北部に分布する淡水魚。アトランティックサーモンの仲間とされていたが、現在はサクラマスに近い事がわかっている。降海型はテツ、スチールヘッドと呼ばれる。 養殖種にドナルドソン、トラウトサーモン、などがある
 
イトウ
日本最大の淡水魚。青森、岩手では絶滅。
 
オショロコマ
北極海や北太平洋沿岸に分布。日本では北海道にのみ生息
カラフトイワナ
参考文献
「食材図典」 小学館刊
 
マリンネット北海道ホッカイドウ http://www.fishexp.pref.hokkaido.jp/Index.asp
 
Wikipedia

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