今月の旬 番外

85回目の「今月の旬」
今回は旬から外れて番外編ですが
一度にこれだけの種類のお肉をいただくことはなかなかありません
そこでお肉のレポートを!
場所はKKRホテル札幌2階レストランマイヨール
大江廣嗣総料理長のお仕事です
貴重な体験でした

  2009年 12月のテーマ 「 肉 」

『カモの胸肉のロースト 脚のコンフィ サラダ仕立て』
 まずはカモからスタート
品種はチェリバリーホワイト、生後90日ほどのものだそう。
財布にお金が入っていると蕎麦屋で好んで食べる「鴨付けせいろ」。大好きな肉の一つであるが、最近は滅多に口に入る機会が減った。まぁ貧乏なだけですな。
 一般的に流通しているのはアイガモで、アイガモはマガモとアヒルの交配したもの。アヒルは野生のマガモから作られた飼育種で、アイガモはアヒルより野性味を持っていることになるだろうか。
 カモの胸肉のローストは鉄味を感じ、甘みと旨味がジュッと出てくる。固いとされる脚肉はコンフィで程よい噛みごたえでこれまた肉の繊維を感じながら口を動かす。胸肉の予想通りの旨さに比べ脚肉の旨さは食べ慣れないゆえに驚きである。胸以外にもこんなに旨いところがあったんだ。
『シャンピニオン』
 このパンがまた旨い
「今日はお肉ばかりなので、パンは一つにして下さいね」と大江料理長。
残念ですが、言うことを聞いて一つだけに。
しかし、旨いパンですな。
そうだ、今度挑戦してみよう。
何方か素敵なレシピをご存知の方、お教えいただけないでしょうか。
是非とも!
『キジの胸肉、脚のロースト レモン風味』
 古来、鳥と言えばキジを指したそうな。昔、山で出くわしたことがあるが、生息域に北海道は入っていないので狩猟用に放鳥されたものなのだろうか。主な生息域は国内では本州、アジアでは広く見ることが出来る。
 キジは日本の国鳥で、国鳥であるが狩猟の対象である。それぐらい古くからの付き合いということなのだろう。アジアの国々でキジ科の鳥を国鳥とするところが多いそうなので、ここでも古くからの関係を想像することが出来る。
 このキジ、ヨーロッパやアメリカなどにも移出されているとか。食用として輸入されていることを考えると出されたものが帰ってきているようだ。
 欧米ではどのようにして食べるのだろう。ヨーロッパで古くから飼育されているホロホロチョウもキジ科なので同じように用いられるのだろうか。
 胸のロースト、負荷をかけないように焼かれていてカリカリの皮に厚めのふっくらとした仕上がり。淡白だがブロイラーとは違う味わいがある。画面後ろに見えるのは「インカの目覚め」のコンフィとその右にキジの砂肝とレバー。これらがまた旨い。淡白で素直な胸に対して噛みごたえとちょっとだけクセのある内蔵肉、絶妙のコントラストだ。
『北海地鶏弐モモ肉のスープ仕立て』
 地鶏とはなんぞや?
 その定義は「在来種純系によるもの、または在来種を素びなの生産の両親か片親に使ったものである。飼育期間が80日以上であり、28日令以降は平飼いで1㎡当たり10羽以下で飼育しなければならない」とWikipediaには記されている。
 では北海地鶏弐とは? アイルランドレッドとシャモのこどもを名古屋コーチンと交配して生まれたもので、歴史の浅い北海道で次のシーンを望んで誕生した地鶏なのだ。
 フォンは軽く、雑味がなくもの凄く飲み易い。モモ、レバー、砂肝の噛みごたえ、歯触り、旨味は素晴らしい。口にするとゼラチン質を感じるのだが、この舌にまとわる感じとサラッとした玄米の相性が何とも言えない。北海地鶏が旨いのか、大江料理長が凄いのか、いや両方だろう。
『仔牛の香草クリームソース』
 色白の仔牛、これは内モモ。繊維が細かく軽く繊細な歯触りだ。クリームソースのまろやかさがピッタリかもしれない。
 儚さと同時にはたと罪の用なものを感じてしまう。これが生きることの根源的な重さなんだろうな。どんな食べ物にしても命をいただいているんだから、その恩恵を受けた自分の行動は重さを感じていなければならない。
 大地と命の恵みに感謝。
『ヤギのスネ、バラの煮込み』
 ヤギで思いつくのは沖縄料理である。北海道ではそう一般的でない素材かもしれない。肉の独特の匂いが強調されるが、その乳は人のそれのタンパク質の構成が似ていて消化も良い。チーズも独特の匂いがあり好き嫌いが別れる。
 スネ肉とバラ肉の赤ワイン煮であるが臭みは全く感じなかった。食感は仔牛の繊維の様なのだがもの凄く柔らかさを感じた。またゼラチン質も感じ滑らかな優しい印象である。
『ヤギのキャレのロースト』
 ヤギのロースト、仔羊に近い香りがする。緻密な肉の繊維を感じ柔らかい肉を噛む、煮込みと同様に嫌な匂いは感じない。耳から入った情報で独特なものを覚悟していたのだが、あっさりと変な期待を裏切られた。旨い、とにかく旨い。普段食べる豚や牛、鶏や羊とも違う。ヤギなのだ。特段のクセのない、でも繊細で旨味のある肉だ。ヤギ肉の薫製なども好きなのだが、これはヤギ感が変わってしまうほどの旨いローストなのだ。
『ラムレーズン 季節のフルーツグラス』
 こちらはデザート。
季節のフルーツをあしらったラムレーズンアイスの冷たい一皿。
『ドワイネ デュ コミス』
 今回のおまけ
 デザートの後におまけが登場。新潟の佐久間さんの「ドワイネ デュ コミス」である。この洋梨、香り、食感、どれもが絶妙なのだ。透き通る白い肌を持ち、ルクチェと同じようでちょっと違う。滑らかで質量感もありながら、ベタベタとした粘着質ではない。和梨好きもドキッとする洋梨だ。どうもかなり貴重な代物のようだ。大江料理長に感謝。
 前回の鮭の勉強会もそうなのだが、一度に数種類を食べることでそれぞれの違いがはっきりと認識出来る。違いが見えてくるとその種やこれまでの人間との関係も気になり、調べだすと世界が広がって見える。先人の知恵や料理の技術も素敵に感じるし、歴史はこれからを指し示す指針ともいえる。
 私が妄想君なのかもしれないが、今回もお皿からいろいろな旅が出来た。ありがたい貴重な体験になった。
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