アメリカ同時多発テロに思う

  今回の事件は衝撃だった。たまたま北海道を直撃するかもしれない台風の情報を得ようとしてテレビをつけたのに、それは全くかなわず、あの信じられないハリウッド映画のような映像に、夜更かししてしまうことになってしまった。
  テロリズムは殺人だ。しかし、テロリストは正義感に燃えて、それを実行するのだ。そうでなくては、あんな自爆テロなんかできない。アメリカ人は、かつての日本のカミカゼ特攻隊や、パールハーバーに例えるが、イスラム過激派にも、かつての皇国主義日本と同様の盲信があるにせよ、アメリカにも自らの自由経済システムに対する盲信がある。テロリストだけを悪者にすることは、間違っている。彼らやイラクがアメリカを悪魔だと呼ぶのは、あながち異常なこととは言えないのである。アメリカこそ、日本の軍国主義を終わらせるために広島や長崎の数十万人の罪もない市民を焼き殺したのであり、自らの利権を守るために10年前の湾岸戦争でも罪のない一般市民を20万人以上殺した。また、そこでは準核兵器である劣化ウラン弾を多用したため、現在もイラクや米軍兵士の中にも白血病で苦しむ人が大勢いる。また、油田を多数炎上させて、地球温暖化にも拍車をかける史上最悪の環境汚染を引き起こした。ビンラディン(かどうか不明だが)のテロなど、アメリカの軍事行動の罪に比べれば、まだかわいいものである。アメリカの報復行動は、テロを根絶するためのものではなく、国内世論をまとめ、また軍需産業によって経済の復興を図るものに過ぎないのである。それにしても、CNNが事件後直ちにテロに歓喜するパレスチナの民衆を放映していたのは、明らかに世論操作だ。アメリカは、世論に後押しを受けて1998年にも(ビンラディン氏が関与したとされる)ケニアとタンザニアで起きた米国大使館爆破事件での報復として、スーダンとアフガニスタンにミサイルを打ち込んだが、被害を受けたのは、何の関係もなかったスーダンの製薬会社と、アフガニスタンの遊牧民だけであった。今回も、冷え切った景気の建て直しのため、アメリカはテロを黙認したのではないかという、うがった見方さえできるのだ。(パールハーバーだって上層部は知っていた可能性がある。)しかし、こんなに完璧にやられては、株価低迷、航空業界の打撃など、マイナス面の方が余りに大きいことは間違いない。
 ブッシュ大統領はもちろん、各国の首脳がこぞって、これは自由と民主主義に対する挑戦だと言っているが、それは絶対に違う。テロリストが狙ったものは、決して罪のない市民ではなく、むやみに殺戮をしたわけではない。彼らは、世界支配を目論むグローバル資本主義の中枢と、世界の警察を自認する圧倒的な軍事力に対して戦いを挑んだのである。私は多くの人から非難を浴びることを承知で言うが、テロリストのやった行為は間違っているけれど、その目的は正しいと思っている。誤解しないでもらいたいが、正しい目的とは、貧しさからの解放であり、自由を得ることである。もちろんそのために、テロリズムは何の役にも立ちはしない。タリバンの原理主義は、女性や少数民族を差別する非人道的なものだと思う。しかし、アフガニスタンは、世界でも最も経済的に貧しい国の一つであるし、数百万人が飢餓線上にある。現在のグローバル経済は、その貧しさを固定化するのである。それを打破しようとすることは、人間として当然ではないか。私は、テロリズムを正当化しようとは決して思わない。しかし、アメリカが正しいとも思わない。アメリカの自由は、金持ちがより豊かになる自由に過ぎないし、民主主義は少数派にとって必ずしも優れたシステムではない。もっと平等で平和なシステムが必要である。
 アメリカに今回のテロ行為を非難する資格などない。今こそ日本国憲法の精神、つまり武力行使の放棄、そのための軍事力の放棄(有名無実化しているが)ということを、世界に広めなければならない。それだけが、テロを根絶し平和を築く唯一の道である。自衛隊によるアメリカ軍の後方支援などという、明らかな憲法違反を決して許してはならない。それにしても、小泉が危険人物ということが、ますます見えてきた。

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