日本は食糧自給率を高め、真の独立国家の道を歩むべきである!
 
      なぜ、食糧自給率を高めなるべきなのか? それは食糧の安全保障という考え方以前に、国家としての責任だからである。高度経済成長期から現在に至るまで日本は、外国に工業製品を売る見返りに食糧を輸入する。そういう方針でずっとやって来た。しかし、もう今後そのようなことは許されなくなる。世界では現在、約10億人の飢餓人口があり、飢餓に直面する人口は爆発的に増え続けている。そんな中で、日本だけが40%の食糧自給率に甘んじ、一方でコメは余っていると言って減反で農地を遊ばせ、賞味期限切れや食べ残しで食品のほぼ25%を廃棄しているというようなことは、倫理的に考えて許されてよいはずがない。
  過去1世紀、世界の食糧生産は、世界人口の食糧需要の総和より常に多かった。従って、食糧の分配がうまく行けば、世界は飢餓に直面することはなかったはずなのだ。しかし、現実にはカロリーの配分は常に不平等であり、先進国に飽食がある一方で、発展途上国には飢餓があった。しかし、今後はそうは行かない。 まだ世界人口は増え続けるのに、食糧増産の方は限界に近づいているのであり、世界は絶対的食糧不足時代に突入するのだ。先進国であるからと言って、金にまかせて飽食を続けるなどということは不可能になるだろう。
  世界全体で絶対的に食糧が不足しつつあるというのに、中国やインドなどの人口超大国は、経済発展により穀物需要を増大させている。それらの国では、工業化の進行により自国の農業生産が低下しているし、穀物を直接食糧とするのではなく家畜の飼料とすることにより、自給率を急激に下げているのだ。さらには、 そのように穀物需要が逼迫してきているところに、温暖化キャンペーンによるバイオ燃料ブームによってトウモロコシなどが燃料として使われたり、オーストラリアの旱魃など異常気象による減収があったり、アメリカなどは収奪的農業により砂漠化が進み農地そのものが衰退している。そんな中で、限られた生産物に対して、実体経済を超えた投機マネーの流入によっても穀物価格は高騰し、貧しい国々はますます食糧を買うことができなくなり、飢餓が拡大しているのである。
  では、日本が世界の人々の命をつないでいる穀物を買い漁ることなく、自給率を高めるためにはどうしたらよいのか? そのためにはまず、廃棄率の高い外食や中食などを控えることである。あるいは、食べ残しの持ち帰りを進めたり、賞味期限切れの食品も、単に廃棄するのではなく再び食品に再生させる方法を考えることである。もちろん、食べ残さないことが一番である。私は、例え不美味い弁当を食べなくてはならない場合でも、常にコメの一粒も残さないように心がけ ている。廃棄する食品が仮にゼロになれば、最大65%にまで自給率を高めることができるということになるわけだ。
  そして、もう一つ食糧自給率を大幅にアップさせる方法として、もっとも実効性があると思われるのは、コメのメシをもっと食べることである。戦後10年目頃には、日本人は一人当たり年間150kgものコメを食べ、カロリーの大半をコメにたよっていた。しかし、現在の消費量は60kgを下回り、実際にはその うちからさらに食べ残しもしていると考えられる。日本人が1日もう1杯のご飯を食べれば、それだけで食糧自給率は40%から48%にまで上昇する。そして70万haの減反が不要になるのだ。
  日本が食糧自給率を下げた一番の原因は、食生活の変貌である。それは、アメリカの占領政策によってもたらされた。当時、小麦の過剰生産に悩まされていたアメリカは、食糧不足に悩む戦後日本をターゲットにし、まず学校給食にパン食を取り入れ、日本人の味覚を改変し、そして御用学者を使って「コメを食べると頭が悪くなる」などという全く根拠のないキャンペーンを張ってまでして、食生活の改造を図った。そして、自給農業を破壊しアメリカの食糧を買い続けさせるために、日本の資本家と結託して誕生させた法律が、1961年の農業基本法である。これは、貧しかった農家の所得をサラリーマン並に上げるという名目で制定されたものだが、実際には労働力を必要とする資本が農家から労働力を吸収し、その賃金を抑えるために食糧の価格を抑え、そして工業製品をアメリカに買ってもらうためにアメリカが売りたい農産物を日本では作らないようにするのが目的であった。つまり、農家はダシに使われただけなのだが、いまだに日本の農家はそのことがほとんど分かっていない。食糧基本法の根幹は、選択的規模拡大路線という政策である。簡単に言えば、穀物ではコメ以外の自給を放棄するということだった。そして、それはアメリカの戦後占領政策と日本の独占資本との利害一致によって遂行されたが、GHQによる農地解放により小作人の身分から解放され 農地を得た農民は、兼業化という道により生き残りを計り、55年体制の自民党を支えるという役割を担うことにより、労働者と共闘して日本の真の民主化を実現するという道を自ら断ってしまったのである。
  そしてさらに、グローバル資本主義によるWTO体制によって、農業基本法は見直しを迫られることになり、1999年には新しい農業法(食料・農業・農村基本法)が制定された。これにより、日本が国際分業の中で国益=資本の利益を最優先し、農業を基本とした国造りを放棄するという、その本質面が強化されたのである。新農業法では、それまでになかった自給率の向上や環境に与する農業の多面的機能などへの言及があるが、これらは旧基本法の農家の所得を上げるという建前同様、資本の陰謀の隠れ蓑に過ぎない。事実、この法律ができて10年たっても、自給率など1%だって上がってはいないし、農業人口は減る一方である。日本の政権が自給率向上など目指していないことははっきりしているし、もし目指していて実現できないのだとしたら、政治家も官僚も余りに無能であることを証明するものでしかない。
  もし、私に総理大臣をやらせてくれたら(そのつもりは全くないが)、日本の食糧自給率を飛躍的に高めてみせる。そのためには、まず徹底的なキャンペーン をやる。「ご飯もう一杯」運動である。そして、生ゴミの廃棄を禁止する法案を作る。それによって、自給率は確実に高まり、同時に世界に信頼される国になる だろう。そうすれば、軍隊により国家を防衛する必要もなくなり、防衛費にまわす予算を教育や福祉にまわすことができる。日本各地にある自衛隊の演習場は、 一大酪農地帯となり得るし、穀物を使わずに牛肉や牛乳を大量に生産することができるようにもなる。もちろん、アメリカの軍隊には日本から出て行ってもらう。沖縄の米軍基地跡地はリゾートとして発展し、観光で外貨を獲得することもできるだろう。自動車や電気製品を外国に売って外貨を獲得するということに は、もう限界がある。貿易を縮小して、農産物に関わらず自給を高める産業構造にシフトしなければならない。
  日本人は米(コメ)を食べて、米(アメリカ)から真の独立を成し遂げるべきである! 自給率向上ということは、すなわちアメリカ依存からの脱却ということである。私は決して民族主義者ではないし、反米主義者でもないが、現状のようにアメリカにNoと言えない日本であってはならないと思う。米軍基地が日本 中いたるところにあり、日本の空域のほとんどが米軍優先であることもさることながら、日本人の命をつないでいる食糧の多くがアメリカから輸入され、日本人 の生存そのものがアメリカに牛耳られているということに、いつまでも甘んじてはいけないのである。

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