ハーモニー 第二話
さて、会場から出て少し行ったところにイチジクの木が立っている。この木は最近ここに持ってこられたもので、
われわれのネルフのマークにちなんで植えられた。言ってみれば使徒がいなくなった記念碑のようなものだ。
シンジ君達とはここで待ち合わせをしたらしい。
「ここに何時に待ち合わせをしたんだい?」
「終わってからすぐの約束だからそろそろ来てもいいころなんだけど・・・」
「とりあえずそこに座って待ってるとするか」
木のすぐ横にあるベンチに座ると少ししてミサトの携帯が鳴った。
「はい、もしもし・・・あ、シンジ君。えっ、少し遅れる?どれくらい?」
「10分、あそう。解った。じゃ待ってるから早くね!」
「えっ、ケンスケ君が先に来る。そう、わかった。じゃ後で・・・」
「リョウちゃん、シンジ君とレイが10分くらい待ってくれって、ケンスケ君はそろそろ来るって言ってた」
「あぁ、あれケンスケ君じゃないか?」
「おっ、早速きたきた」
向こうからケンスケ君が歩いてきた。手にはバイオリンとカバンを持っている。
「どうもお久しぶりです」
「ああ、久しぶりだね。ケンスケ君は元気だったかい?」
「ええ、おかげさまで、ミサトさんもごぶさたしてます」
「本当ね、元気そうじゃない、それより今日はびっくりしちゃった!」
「そうそう、びっくりしたよ。上手だったじゃないか。いつの間にバイオリンを始めたんだい?」
「あっ、そう言えばお二人には話して無かったですね、バイオリンそのものは中2の時に実は持ってたんです。
もらった物なんで最初はどうしようかと思ったんですけど、シンジがチェロやってたから勢いで始めてみたんです。
っていっても今日の曲くらいしか弾けませんけどね」
「へぇ〜、そうだったんだ。それにしてもバイオリンをくれるなんて気前がいい人がいたものねぇ〜」
「実はバイオリンをくれたのはアスカなんです」
「えっ!アスカが!」
「アスカがくれたって・・・ケンスケ君、それはまたどういった経緯なんだい?」
「僕も理由までは訊けなかったんですけど、『とにかくもう飽きたからあげる』って言われて、断ることもできなかったんですよ」
確かにアスカの性格を考えると断ろうものならビンタの2,3発でも食らって『あんだは黙ってもらえばいいのよ!』
とか言われるのがいいところだろう。
それにしてもあのバイオリンはアスカが日本に来る前から大切にしていたのだが・・・
「ケンスケ君、アスカに言われたのは『飽きたからあげる』だけだったのかい?」
「いえ、あと手入れの仕方とか、保管の仕方なんかを聞きました。それまで随分大切にしていたものだったみたいで、
『大事にするのよ!』ってしつこく言ってましたね、あの・・・これって何か特別な品なんですか」
「いや、僕は良く知らない。ミサトはこのバイオリンのことで何かアスカから聞いてる?」
「ううん、何も聞いてないわ」
「ケンスケ君、僕が知ってるのは一緒にドイツから来る時にもそのバイオリンを大事にしていたと言うことだけなんが、
それを君がもらったと聞いたからちょっと驚いてね」
「そうだったんですか、そんな大切なものを僕が持っててもいいんですかね?」
「まぁ、アスカが決めたことだからいいんじゃないかな、でも彼女が言った通り、大切にするんだよ」
「ええ、もちろんです」
「ねぇ、ところでケンスケ君。シンちゃんとレイはどうしたの?」
「あぁ、あの二人だったら荷物を置きに1度部屋に戻りましたよ」
「えっ、部屋って?」
「卒業前に二人とも寮を出て1週間くらいホテルに泊まってるみたいです、卒業するとすぐに仕事なんかで忙しくなるから卒業旅行とかは行けないし、せめて少しの時間豪華に過ごそうって」
「そうか、シンジ君もなかなかやるね」
「あのシンちゃんがね〜」
そんなことを話していたら向こうからシンジ君とレイちゃんが腕を組んで歩いてきた。
「あっ、来た来た。シンちゃ〜ん!レイ!こっちこっち!」
「ミサト、そんなに大きな声だすなよ。ちゃんと見えてるって!」
「あら、別にいいじゃなーい。ねっ、ケンスケ君。」
「は、はぁ。。。」
「遅くなってすみません。ちょっと荷物を置きに戻ってたもので」
「別にいいのよそんなこと、それにしてもあなたたち、さっきの演奏後のキスはなに?派手すぎるんじゃない?」
「あっ、あれは碇君が急に・・・そ、その・・・」
「まったくシンちゃんも隅におけないわよね〜、あんなことしちゃってサ〜」
「ミサトさん、からかわないで下さいよ!僕たちこう見えても本気なんですから!」
「ごぉめん、ごめん。でもカッコ良かったわよ〜、シンちゃん!」
「それにしてもシンジ君やレイちゃんと会うのも久しぶりだな、もう1年くらいになるかな?」
「そうですね、僕らもずっと寮生活でしたし、去年の春休み以来ですかね・・・」
「いや、それにしてもシンジ君。立派になったね、彼女ともうまく行ってるみたいじゃないか」
「もちろんです」
と言うと彼は彼女のほうを温かい目で見つめた。彼女は何だか照れくさそうだ。
「加持さんとミサトさんにこれからのことで話したいことがあったんです。ここで話すのもなんですから、近くの店に入りませんか? いいところを知ってるんですよ」
「あら、いいじゃなぁ〜い!早速行きましょ!」
最近、うちのミサトは食い気のことになると反応が早い。先が思いやられる・・・
そんなことを考えながらシンジ君の後について行くとなかなかしゃれた雰囲気のコーヒーショップを案内してくれた。
店内の所々に木目調の家具を置いた落ち着いた店だ。店の外の木陰にはテラスが用意されている。
入ると早々ミサトはレイちゃんを連れてテラス席の方へ行ってしまった。
「ここにはよく来てたのかい?」
「ええ、なかなか落ち着ける所が無かったので、ここによくレイと二人で来てはいろんな話をしたりしに来てましたね」
「ということは、ここで二人は愛を育んだわけだ」
「ん〜、なんかその言い方って照れますね」
と言うと彼は笑った。 さて、みなが席に座るとウェイトレスが来て注文を採っていった。シンジ君はそれを目で見送ると・・・
「あの、僕たち二人、結婚しようと思ってるんです」と、言って彼女のほうを見ると手をとった。
あとがき
1年一回ペースの投稿ですみません。書き始めると書きたいことが沢山あるのですが、最近まとまるか心配です。
もし読んでいただいた方で、感想をいただけたら嬉しいです。今後のアイデアがあったら教えてください。
たけし rei@air.ne.jp
たけしさん、本当にありがとうございました!!
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