To Heartショート・サイド・ストーリー短編連作
☆ほっとギミック!☆
トゥハート世界の中で様々なキャラクターたちが織りなす
ありそでなさそな日常風景。
愛と笑いと涙と友情と薬物と破壊と狂気と一次冷却水に
満ちあふれた青春群像を、いま、あなたに。
ほっとギミック!
第3話:「ちょっぴりヨガな女の子」
−ある休日−
まず、その日はひどい雨だったわけだ。
そんでもって雅史、あかり、志保など、いつも一緒に遊んでる連中は
みんな用事があるそうで。
結局、傘さして街へくりだす気も起きなかった俺は、朝から家の中で
たれぱんだのごとく怠惰な時を浪費しているのだった。
「マルチ〜」
「はぁい〜」
リビングのソファでくつろぐ俺にぴったり添い寝して、ふやけきった
声を出したのは我が家のたれぱんだ2号・マルチ。
「ヒマだなぁ」
「おヒマですぅ〜」
と言いつつ柔らかいほっぺたを俺の胸にこすりつけてくるマルチ。
むにむに。
この感触はかなりOKだが・・・・雨のもたらす憂鬱な気分はいかんともしがたい。
「ヒマだから、なんかやって俺を楽しませてくれ」
「はう〜・・・・そんな曖昧なオーダーに私は困惑する事この上なしですぅ〜」
へにょへにょ・・・
クラゲのような動きで立ち上がるマルチ。
「しばらくお待ちくださーい・・・」
へにょへにょへにょ・・・・・
寝ぼけまなこのマルチは頼りない足取りで二階の自室へ上がっていった。
・・・・大丈夫か?アイツ。
・
・
・
数分後。
「お待たせしました〜」
「おお!!」
俺はガバッ、と飛び起きてマルチを食い入るように見つめた。
何とマルチは学校指定の体操服に着替えてきやがったのだ!
下はもちブルマ!
しかも赤ブル!!
えーい、こんちくしょうは俺の趣味を知っての狼藉か!?あーん!?
「マルチいいいいい!!」
こみあげてきた愛おしさ(=煩悩)に思わずマルチを抱きしめる俺。
ああもういっそあんな事やこんな事を・・・・
「はわわ・・・ひ、浩之さん困りますぅ・・・まだ芸を始めてないですのに・・・」
突然の抱擁に顔を赤くしながら、マルチはそんなことをのたまった。
「え・・・・・芸?」
きょとんとする俺。
「はいー。
ちょっと動きやすい服装に着替える必要があったので、
これを着てきたんですぅ」
それを聞いた俺は心の底から残念な気分でため息をついた。
「なんだ、マニア心をくすぐる格好で俺をめくるめく快楽の世界へ
連れていってくれるんじゃなかったのか・・・・」
「それはまたの機会ということで・・・・では、はじめますー」
意味深なことをさらっと言いながら、赤ぶるマルチは『俺を楽しませる何か』
にとりかかった。
「よいしょ、よいしょ」
くねくねくね・・・・
いきなり、ラジオ体操とも暗黒太極拳ともつかぬ不可解な運動を始めるマルチ。
「なんなんだ、そりゃ」
「にゅふふ・・・ここからが本番なのですー」
ぺたん。
マルチが床の上に尻をついて、あぐらをかく。
・・・・と。
「やあっ」
気の抜けるような気合いを入れて、マルチはあぐらをかいたまま
右足を持ち上げ、それを自分の首の後ろに引っかけた。
「うおっ」
ビビる俺。
「もひとつっ」
ぐいーん。
マルチはさらに左足まで首の後ろへ引っかけると、合掌して決めポーズを取った。
「はいっ!
これが来栖川エレクトロニクスが新開発したメイドロボのヨガ機能です!
いかがですか浩之さん?」
「いや・・・・いかがも何も・・・」
つうかヨガ機能って何じゃい。
「さあ、浩之さんもご一緒に!」
「できるかっ!!」
「ええっ!?できないんですか!?」
「できるわけないやろ!!」
「何故に関西弁!?」
「つっこんどるからに決まっとろうが!!」
「えっ、だれがボケたんです!?」
「お前だっ!」
「ひどい・・・私はただ浩之さんを立派なヨーギー(ヨガ修行者)にしたいだけなのに・・・」
「なりたくねえええ!!」
「私だってなりたくありませんよ!」
「あーもーアンタとはやっとられんわ!」
べし。
「しっつれいしましたー」
ちゃんかちゃんかちゃんかちゃんか・・・・・・
・
・
・
・
トゥルルルルル・・・・・・
トゥルルルルル・・・・・・・
カチャッ。
「もしもし、HM研究所の長瀬だが・・・・やあ、藤田君じゃないか。
こないだマルチにインストールした、ヨガから漫才へ発展する娯楽用プログラムは
楽しんでいただけたかね?」
『ザブトン一枚だ、おっさん』
神様、明日はどうか晴れますように。
*了*
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