「ストーマ・排泄ケアのエビデンスと個別化を求めて」をテーマに2月23日、24日に札幌市で開かれた第35回日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会(佐々木一晃会長)のプログラムの中から、高齢者・認知症患者・在宅支援に関わるストーマケアのセッションを中心に紹介します。
パネルディスカッション2「認知症患者のストーマ・排泄(消化器・泌尿器)の管理」は、上川禎則氏(大阪市立総合医療センター泌尿器科)、柴崎真澄氏(いわき明星大学看護学部)の司会で進められ、パネラーの川島市郎氏(京都民医連中央病院)は、自院の超高齢大腸がん患者の手術症例を振り返り、認知症患者のストーマ造設上のポイントと課題について報告。患者の意思決定支援に努めたが最終決定は家族が行っていたこと、術後のケア指導も家族主体に実施していたことを提示。医療者が認知症患者を理解し、家族をサポートすることから認知症患者にとって望ましいストーマ造設の在り方が明らかにされていくと展望しました。丸山弘美氏(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター)は急性期病院における認知症患者のストーマケアの実際と課題について述べ、術後ケアは丁寧なアセスメントで疼痛コントロールをしっかり行い、認知症の重症度や疾患理解を深め、患者が持っている能力を引き出しケアに参加できるような関わりが大事であると強調。家族ケアの大切さにも言及し、情報共有と社会資源調整で家族の不安を軽減することが患者の安定にもつながると説きました。
高木良重氏(福西会病院)は、地域でのストーマケアの質保障のため、病院看護師は退院後の受け入れ先の援助者への継続的な指導、働き掛けを行う必要があると提起しました。熊谷英子氏(むらた日帰り外科手術・WOCクリニック)は、在宅認知症ストーマ保有者の支援体制の現状と課題について発言。病院と在宅の連携強化という点でストーマ外来の役割の見直し、いつでも相談できる窓口として運営することを提案しました。
モーニングセミナー1「在宅ストーマケア最前線〜病院ケアの経験を活かして〜」(アルケア株式会社共催)は、佐々木一晃氏の司会で、鳩ケ谷訪問看護ステーションの持田智江美氏が講演。病院と在宅の両方を経験した立場から病院看護師には退院後の生活を考えた装具選択やストーマケア指導を、在宅看護師には適切なストーマケアの知識や技術を身に付けてほしいと期待を述べました。
ランチョンセミナー4「2025年問題を乗り切るストーマケアの切り札」(アルケア株式会社共催)は、幸田圭史氏の司会で、若葉オストミーセンター代表の小林和世氏が「医療介護同時改定がストーマケアに及ぼす影響」、名古屋第二赤十字病院患者支援センター地域包括ケア支援室の本田あや子氏が「退院後訪問指導を活用した在宅ストーマケアの取組み」を講演。両者とも今改定でストーマ保有者も対象になる在宅患者訪問看護・指導料3、退院直後の在宅療養を支援する退院後訪問指導料の活用、つまり病院看護師が在宅ケアに積極的に参画するようを訴えました。
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