余市町にあるフゴッペ洞窟は現在、JR線によって分断されているが内陸側の丘陵地の先端部にあたり、幅が約6メートル、高さと奥行きが約7メートルの岩陰洞窟。洞窟内の岩に刻画が描かれているのは、国内でフゴッペ洞窟と小樽市の手宮洞窟以外に知られていない。描かれているものは人物像が多く、舟と考えられるものや何を表現したのか謎めいた刻画もある。肩から羽が生えたように描かれた人物像は、精霊や神に変装したシャーマン(祈祷師)表す有翼人と考えられている。漁労や豊穣、出産を祈ったり、吉凶を占うなどの祭祀を行っていたといわれている洞窟に有翼人が描かれたことは、祈祷などの力を増幅させるため、祭祀の際に一般民衆もシャーマンと同じような仮装をしていたのではないかと推測されている。
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