北海道医療新聞社

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暮らしと健康の月刊誌:ケア

4月号

特集記事

人手不足に過重労働 

小児医療の現状

今、全国で産科医や小児科医の不足が問題となっている。本道の現状も同じで、とくに札幌や旭川といった都市部よりも地方の現状は深刻といわれている。そうした状況に対して、行政や医療者側はどういった対策を考えているのだろうか、北海道小児科医会の会長を務める富樫武弘札幌市立大学看護学部客員教授に聞いた。


恥ずかしがらずに早期受診が大切

三大痔

いぼ痔、切れ痔、あな痔などの、いわゆる『痔』という病気。他人事と考えている人はいないだろうか。これら痔は、日本人の三人に一人は患者という、実に一般的な病気であり、誰でも患者になり得たり、気づいていないだけで、すでに患者である可能性も高い。今回は、数ある痔のなかでも、患者数の多い三大痔について、堀江外科(厚別区)の堀江洋三院長に解説してもらった。


手術で認知症状が治る可能性も

特発性正常圧水頭症

高齢者にみられることが多い認知症や歩行障害、尿失禁といった症状。そうした症状を持つ患者さんは介護する家族にとっても大きな問題となる。ところがその背景に正常圧水頭症という病気が関わっていることがあり、それらの症状は手術で改善する例も多くみられるという。今回は正常圧水頭症について、恵み野病院(恵庭市)の貝嶋光信院長に解説してもらった。


患者さん自身も参画する時代へ

医療安全対策

今から十年近く前、横浜の医療機関で患者さんを取り違えて手術を行ったミスが発生し、医療事故の問題がマスコミでも大きく注目されるようになった。以後、国内では医療安全の確立を課題にさまざまな対策が立てられ、各医療機関では事故防止に向けた体制を整備している。現場でリスク管理を専任で行ってきた禎心会病院(東区)の中山日登美看護部長に、日々医療現場で取り組んでいる安全対策について聞いた。


大幅な体重増加は要注意

妊娠高血圧症候群

妊娠は胎児が成長する大切な期間の半面、女性にとって心身ともに負担が多い時期。女性は体調が乱れやすく、胎児への影響も注意しなければならない。妊娠中に注意すべき身体の変化の中から、妊娠高血圧症候群について、札幌東豊病院(東区)の出口圭三医師に解説してもらった。



カラーグラビア /北の礎〜語り継がれる地域の貢献者たち 

自然の賜を次代へ
寺地憲一氏の想い
イタンキ浜の鳴り砂

「貴重な自然からの贈り物を保護し、子どもたちに伝えていきたい」。一人の研究者の想いが共感を呼び、多くの人達を動かす。
 北海道南西部の噴火湾に面した室蘭市。この街の太平洋側に続くイタンキ浜は、鳴り砂の浜として知られる。この鳴り砂を研究し、保護を市民活動にまで拡大させたのが、故寺地憲一氏。今も続く行政と住民の保護活動は、寺地氏の地道な活動から始まった。
 寺地氏は、室蘭市内の中学校教師を務める傍ら、専門とする地質学や地方史研究に加え、模型製作や切手収集、ペン画など多彩な趣味に没頭。なかでも、製鉄所や学校、駅、観光名所、昭和初期の今は取り壊されてしまった建物などを〇・八ミリ以下の細いペンで詳細に描いたペン画は千点に及び、貴重な資料としても注目されている。
 教職を退職後、科学館の指導員を務める傍ら、本来の専門である地質学の知識を生かして、ライフワークとして鳴り砂の研究を進めた。時には自分の足で現地に赴き、全国から鳴り砂のサンプルを採集した結果、イタンキ浜の砂に混じる石英は非常に良質・透明であることが判明。研究者はこの砂を「天使の涙」と名付けた。
 鳴り砂は、砂の中に混じっている石英が擦れ合って、キュッ、キュッという独特の音がする。砂が鳴る条件は(1)汚れがないこと(2)程よい丸み(3)粒が揃っていることこれら3つが揃ったうえで、さらに砂が乾燥していなければならない。これらの条件が整うのは非常に難しく、例えば、海岸にゴミが増えると鳴らなくなるという。国内には三十箇所ほどの鳴り砂が確認されているが、市街地近くに鳴り砂があるのは、イタンキ浜だけといわれている。
 鳴り砂の仕組みやその保護の大切さを、寺地氏は学校などを訪問し、子ども達に伝え歩いた。そうした活動がやがて、共感を感じた人たちを引きつけ、一九九七年に「室蘭イタンキ浜鳴り砂を守る会」の結成につながった。会員による清掃活動を年に十一回実施。そのうち三回は「鳴り砂観察と保全の日」として、市民も参加しての活動を行っている。
 会設立当初は会員二十人で活動してきたが、現在では九十人前後にまで拡大。イタンキ浜のパトロールや清掃活動、各種講演活動といった地道な活動が実を結び、年々規模が大きくなっている。また、清掃活動も昨年は一度に百四十人も参加。なかには個人だけでなく、大学の寮生や企業単位での参加もみられた。さらに、道の条令に基づく「環境美化促進地区」にも指定された。

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