北海道医療新聞社

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暮らしと健康の月刊誌:ケア

10月号

特集記事

がんと重なるリスクファクターに要注意

大腸の憩室とポリープ

年々患者数が増加しているという大腸憩室とポリープ。共通する点が多いこの二つの病気は、同じく最近増えている大腸がんとどういった関連があるのだろうか。病気の特徴や治療法とともに、がんとの関係について、手稲渓仁会病院(手稲区)消化器病センターの野村昌史副部長に解説してもらった。


長期間続くなら早期に原因解明を

突然の動悸

運動もしていないのに、突然、胸がどきどきし、心臓の病気ではないかと不安に襲われたことはないだろうか。この動悸は日常生活の問題が原因になる場合や、不整脈が関わっている場合もある。症状によっては何らかの心臓病が隠れている可能性もあるため、注意が必要といえる札幌鉄道病院の土田哲人主任医長に動悸について、わかりやすく解説してもらおう。


秋の夜長は読書を楽しもう

医療者が薦めるこの1冊

静かな秋の夜長に、読書を楽しみませんか。今回は、みなさんの健康を診る医療者が、普段気軽に読む本や、思い出の1冊、感銘を受けた本などを紹介してもらいました。認知症ケア、ロシア文学から、小説、ドキュメント、はては理科の教科書など、幅広いラインナップが揃いました。あなたはどんな本を選びますか?


不妊症になる恐れも

多嚢胞性卵巣症候群

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、生殖年齢の女性の五%以上にみられる頻度の高い病気。月経不順や無月経といった月経異常や排卵障害によって不妊症になる恐れもある。また、重要な特徴として糖尿病と関連があるインスリン抵抗性体質があることが知られている。多嚢胞性卵巣症候群とは、どんな病気なのか、不妊症治療やインスリン抵抗性との関連などについて美加レディースクリニック金谷美加院長に解説してもらった。


推計患者数は約530万人

COPD

COPDという言葉をご存じだろうか。日本語では、慢性閉塞性肺疾患と訳され、気道の炎症や肺胞の破壊により、慢性気管支炎や肺気腫等の病気を発症する疾患。約530万人のCOPD患者さんがいると推定され、まだまだ日本人には十分知られていない現状がある。おびひろ呼吸器科内科病院の菅原好孝院長にCOPDについて解説してもらった。



カラーグラビア /北の礎〜語り継がれる地域の貢献者たち 

寒村を賢治が描いた理想郷に

初代民選村長の挑戦

横山 正明

山奥の小さな村、陸の孤島ともいわれた旧穂別村で、宮沢賢治が描いた理想郷・イーハトーヴの実現に力を尽した男がいた。初代民選村長・横山正明その人である。戦後の貧しい中、電源開発から、村立高校、村立病院の開設、スクールバスの運行など、北海道の一寒村とは思えないほど、積極的な施策で村民の生活向上を図った。

 横山の理想郷への想いは、住民の地域づくりに引き継がれ、「ほべつ銀河鉄道の里づくり委員会」などが中心となって、宮沢賢治の世界をモチーフにした活動が行われた。廃線によって使われなくなった富内駅は、富内銀河ステーションと名前を変え、近隣には賢治設計による花壇「涙ぐむ眼」が造成された。さらに高齢者生きがいセンター、イーハトーブ文庫などができて、地域住民の憩いの場や、ほべつ銀河鉄道の夕べなどのイベント会場として使われた。

 平成の大合併によって、町は鵡川町と合併し、むかわ町穂別へと変貌した。町が変わり、世代が交代していくにつれ、理想郷づくりへの熱は薄らいでいった。横山を直接知る人間も減り、記憶は絶たれつつある。横山と宮沢賢治について研究し、いくつもの著作がある田んぼdeミュージカル委員会は、「過疎化したまちを無理に残すのではなく、そのまちを育んだ先代たちの意志や想いを胸に、それぞれが別のまちで活躍していくことで、まちの記憶を残していくことも大切だ」と話す。横山と彼の描いた理想郷の記憶を後世に伝えていくこと、それが今後の課題という。

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