北海道医療新聞社

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週刊:北海道医療新聞

平成27年(2015年)11月6日付

医療観察法施行から10年、指定入院医療機関の整備を

 2005年施行から10年が経過した医療観察法。統合失調症などに起因した心神喪失状態で、殺人や強盗といった重大な他害行為を行った人に対し、指定医療機関での治療プログラム(入院、通院)で病状改善と再発防止を図り、社会復帰を促す制度だ。本道に入院施設は未だなく、全国7エリア中、唯一の空白地帯となっていることから、早急な整備を求める声が関係者から挙がっている。

 全国で指定された入院施設数は、28都府県の31病院808床。目標病床数の800床は超えたものの、全国7エリアの地方厚生局単位でみると本道だけ未整備だ。


地域医療住民活動団体、取り組みや悩みなど報告

 住民が一体となって地域医療を支える、道内の活動団体による懇談会が、道医(長瀬清会長)の主催により札幌市で開催された。人口減少、医療スタッフ確保難という中で、医療機関の診療機能縮小や存続危機などを背景に立ち上がった草の根的な応援団が、日ごろの悩みや今後の活動予定、事例等を話し合った。  この日は12団体の代表者らが出席した。

 『白老町立病院を守る友の会』は、町立病院に対して廃止か民間移譲すべきとの答申があったのを受けて、主婦2人の署名活動からスタート。


大野・北市両氏、ベーチェット病啓発に力

 国際ベーチェット病学会の大野重昭理事長(北大名誉教授)と北市伸義評議員(道医療大教授)は、ベーチェット病患者が多く見られる中央アジアのカザフスタンとキルギスで、初の現地調査を実施。難病解明に向けて本道の医師がフィールドワークを重ね、世界へ研究成果を発信していく。

 ベーチェット病は眼、皮膚、外陰部、口腔粘膜に症状が現れる原因不明の自己免疫疾患。ぶどう膜が炎症して失明するリスクが高い難病で、わが国の患者数は2万人程度とされ、本道に多い。


記念塔病院、ポジショニング導入促進

 厚別区の記念塔病院(三井慎也理事長・170床)は、リハビリスタッフと病棟の介護職が連携し、クッションやタオル等を使い患者個々の身体状況、臥床姿勢に合わせたポジショニングの導入を促進している。

 同病院は医療療養110床、介護療養60床で運営。入院患者の不良姿勢による関節拘縮や介護場面での身体的負担増大が課題だったため、安楽な臥床姿勢のポジショニングに注目、介護病棟から対応強化を図った。


医師事務補助者に期待、道地方会シンポ開催

 日本医師事務作業補助研究会道支部(支部長・南木由美手稲渓仁会病院医療秘書課課長代理)は、第4回地方会を札幌市で開催。シンポジウム「チーム医療の一員として他職種が医師事務作業補助者に何を期待するか」では、医師や看護師が専門性を発揮できる支援に取り組み、医療の質向上につなげる専門職として期待する声が相次いだ。

 手稲渓仁会病院救命救急病棟の葛西陽子師長は、同病院救命救急センターの1次外来で医師事務作業補助者が診察補助、検査案内、資料や書類の準備を行っている現状を報告。


全日病調査、介護療養の廃止 43%が反対

 全日病は、2018年3月末で医療療養病床「25対1」の経過措置が終了、介護療養病床が廃止されることに対して、会員病院の43%が反対しているとの調査結果(中間報告)をまとめた。特に、対象となる病床を有している病院に限ると、7割強が「反対」と回答。「転換に際し土地・建物・人材確保の費用が重くのしかかる」「急性期病床や回復期病床の受け皿として療養病床は必要」などとする意見が寄せられた。

 調査は、療養病床を有する1,346病院を対象に9〜10月に実施、有効回答があった546病院の9月時点の状況をまとめた。


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