北海道医療新聞社

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週刊:北海道医療新聞

2019年(令和元年) 6月28日付

横倉会長、全世代型社会保障実現を─日医代議員会

 日医は第145回定例代議員会を開催した。横倉義武会長はあいさつで、令和時代における医療の大命題として、治療主体の医療から、人々の健康づくりに貢献し、人生に寄り添う医療へと転換することで、「全世代型の社会保障」実現を訴えた。

 医師の生涯学習支援について、2016年度から開始した、日医かかりつけ医機能研修制度は、都道府県医師会の協力のもと、応用研修受講者数が3万6千人を超え、全ての都道府県で修了者が出ていると成果を強調した。

 地域包括ケアシステムの確立やACPの普及は、「国民から選ばれる、かかりつけ医の存在があってこそ」と説明。かかりつけ医のさらなる普及と機能向上へ、研修制度の充実と拡大に向けた議論を継続していくとした。

 


道国保地域医療医学会で佐々木氏が講演

 「地域包括ケアシステムにおける在宅医療の在り方─住み慣れた地域でいつまでも暮らしていくために」をテーマに、北海道国保地域医療学会が札幌市で開かれ、医療法人社団悠翔会の佐々木淳理事長が「多職種連携による在宅医療の実践と課題」について講演した。

 高齢者の入院はリスクや要介護の悪化につながり、潜在的リスクの管理、早期発見、早期治療、早期退院が予防となると強調。残る人生をより楽しくするための医療でなければならないと説明。病気になっても高齢になっても暮らし続けられる地域へ、「その人でなければできないことを大切に、地域ごとの知恵と工夫で取り組んでいく」コミュニティモデルの推進を訴えた。 


北大遺制研・村上教授、ゲートウェイ反射解明へ

 北大遺伝子病制御研究所分子神経免疫学教室の村上正晃教授の研究テーマ「重力ゲートウェイ反射」に基づき、国際宇宙ステーション(ISS)で初めて行われた中枢神経系の炎症性疾患モデルマウスの長期飼育ミッションが完了し、マウス全数が生存帰還した。炎症性疾患モデルの発症に重力を介する特定の神経回路が関与しているという村上教授らの研究を傍証するように、マウスの外見には重力によって生じるはずの症状が表れていなかったという。今後は年内をめどに、重力ゲートウェイ反射の効果検証を含め、病態と重力の関係について詳細な解析を行う。

 中枢神経系である脳や脊髄の血管は、細胞、生体高分子や病原体の出入りを血液脳関門で制限しているが、細菌やウイルスが感染したり、がん転移が生じたり、さらに免疫細胞が侵入して難病を発症することがある。

 


札幌南徳洲会が移転新築へ、地域包括ケアと緩和ケアの核に

 札幌市清田区の札幌南徳洲会病院(鈴木隆夫理事長、四十坊克也院長・88床)は、理念に掲げる「ホスピスのこころを大切にする病院」の実現と、高齢者医療の充実による地域包括ケアの中核を目指し、同区平岡5条1丁目への移転新築を決めた。すでに基本設計をまとめており、2021年6月の完成を予定している。

 新病院は、RC造3階建て延べ約6,800平方メートルで、1階に外来機能や救急治療室、2階にリハビリ室と透析室、内科病棟を設置。3階には全国でも珍しい2ユニットの緩和ケア病棟を設置する。

 


認知症施策大綱、「共生」「予防」を推進

 政府は関係閣僚会議で、「認知症施策推進大綱」を決定した。「新オレンジプラン」に代わる新たな国家戦略で、認知症の発症を遅らせ、認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会を目指すことや、認知症の人や家族の視点を重視しながら「共生」と「予防」を両輪に施策を推進することを柱にしている。

 KPI/目標には、企業・職域型の認知症サポーター養成数400万人(認知症サポーター養成数1,200万人〈2020年度〉)、自治体における、事前に本人の意思表明を確認する取り組み実施率50%、市町村における「認知症ケアパス」作成率100%をはじめ、認知症の相談窓口について、関係者の認知度2割増加、住民の認知度1割増加などを明記。

 


●地域医療構想WG 公立医療機関等再編統合の具体的手順提示
●道内救急車出動・輸送人員最多 消防庁18年速報値
●秋山財団賞に北大横田氏
●新たなコミュニティに 北斗が福祉村ガーデン造成
●道内18年度障害者就職 医療・福祉業で知的が大幅増

 


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