北海道医療新聞社

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週刊:北海道医療新聞

2019年(令和元年) 8月23日付

道のドクヘリ派遣要請、災害時運用へ要領案─総医協専門委

 道は、災害発生時のドクターヘリ運用体制整備に向けた要領案を、道総医協救急医療専門委員会(委員長・青木秀俊道医常任理事)に提示した。災害対策本部やDMAT調整本部が設置され、ドクターヘリの派遣が必要と判断された場合は「ドクターヘリ調整部」を設置して、道内4基地病院への要員派遣要請、活動内容の調整をはじめ、他都府県への派遣要請に関しても相互に連絡・情報共有を図れるように実施していく。

 要領案によると、災害時におけるドクターヘリ活動は▼医師、看護師等の医療従事者及び業務調整員の移動▼患者の後方病院等への搬送▼その他、災害対策本部等が必要と認める任務であって、ドクターヘリが実施可能な活動─と規定。 


日本病院学会で相澤会長、近隣型・広域型の連携提案

 第69回日本病院会が札幌市で開かれ、相澤孝夫日病会長は「その先の時代に求められる病院」と題した講演で、「病床機能ではなく、病院機能をどうしていくかの議論をしていかないと地域医療構想の下地はつくれない」と指摘。高度急性期から急性期を診る病院、急性期から幅広く診る病院の2類型を設定し、地域の医療体制を構築していくことが必要と訴えた。

 相澤氏は、平均在院日数、疾病内容、入院患者の重症度、救急搬送患者の状況などがどんどん変わり、「医療需要は予測(推計)よりも早く減ってくるのではないか」とし、これらを見据えた経営の重要性を説いた。

 急性期の軽症患者が増える中で、どこで診ていくのか、どうやって診ていくのか、どこまで診るのか・診ないのかを考えていかなければならないとして、高度急性期、急性期、回復期、慢性期という「縦型の分類ではもう難しい」と主張。


膵がんの悪性度・免疫回避、ARF6経路が深く関与─北大分子生物などのチーム

 北大分子生物学教室の佐邊壽孝教授、橋本茂准教授、橋本あり助教と消化器外科学教室?の平野聡教授らの研究グループは、膵がんにおいて、KRAS変異とTP53変異の2つの代表的がん遺伝子変異が、低分子量Gたんぱく質ARF6を基軸とする「ARF6─AMAP1経路」を介し、悪性度進展とがん免疫回避に関与していることを突き止めた。同経路が免疫チェックポイント阻害治療の有効性を評価するバイオマーカーとなる可能性も示唆され、免疫チェックポイント阻害と同経路阻害の併用療法の有効性が期待されるという。

 膵がんは最新の「がん診療連携拠点病院等院内がん登録生存率集計」でも5年相対生存率が10%を下回り、診断時には局所浸潤や遠隔転移が認められることが多く、抗がん剤抵抗性も高い。


我汝会さっぽろ、PETLIF80例突破

 札幌市東区・我汝会さっぽろ病院(木村正一理事長、春藤基之院長・50床)が行う「PETLIF(ペトリフ・経皮的内視鏡下腰椎椎体固定術)」が着実に実績を積み上げ、80例を突破した。診療放射線技師が独自に作成する脊椎領域の立体画像を活用、より安全・確実な施行を実現している。

 腰椎固定術の低侵襲手術として、XLIF、OLIFを導入する施設が増えている。それらの手技は、神経に触ることなく除圧(間接除圧)が可能だが、侵入経路に大血管、腹部臓器などがあり、安全性に課題があるといわれている。

 PETLIFは、長濱賢医師が北大在籍時に同大で長年実施している脊椎感染症に対する経皮的内視鏡下椎間板掻爬術の技術を応用。

 


福井日看協会長、高い実践能力育成を─日本病院学会で特別講演

 福井トシ子日看協会長は、札幌市で開かれた日本病院学会で「地域包括ケア時代の看護職に求められる4つの力」をテーマに特別講演。高齢化率が30%を超える2025年には患者像が複雑化し、あらゆる場で全ての看護師に高い能力が求められると指摘。入院医療から在宅医療への転換に対応したスーパージェネリストの育成が重要と訴えた。

 現在の看護師教育は、専門看護師や認定看護師など体系化された仕組みがあるが、専門分野を持たない者を対象とした全国標準の仕組みがないことを懸念。特に中小規模病院や高齢者介護施設、訪問看護ステーションなどにおける教育支援体制の強化が必要とし、能力開発・評価システムの一環で日看協が作成した、クリニカルラダーの積極的な活用を訴えた。

 


19年人勧民間調査、医師初任給43万円

 2019年人事院勧告で公務員給与との比較に用いた4月の職種別民間給与実態調査によると、18年度に臨床研修を終えた準新卒医師の平均初任給は43万2,887円(前年40万9,322円)、うち事業所規模500人以上が42万698円(同41万2,338円)、100人以上500人未満が49万5,937円(同35万647円)となった。

 医師全体の4月分給与支給額は、平均43.7歳(同47.7歳)で97万3,203円(同100万1,648円)、うち所定内が84万8,968円(同92万2,352円)だった。

 


●厚労省19年度診療報酬改定告示 消費税率引き上げ反映

●12年の3年生存率0.8%上昇し72.1%に 国がん調査

●道医療大薬学部・歯学部 特待奨学生制度拡充

●2病院統合21年着工へ カレスサッポロ決算報告会

●改訂クリニカルラダーを人事評価などに活用 岩見沢市立総合

●18年の病院耐震化比率 道内微増73.5%に

 

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