「これでどうだい?」
翌日の朝……優太は町の人からもらった武器防具を装備していた。
ゲームである都合上、ここの装備は一番弱いが、少なくとも防具は役に立った。
「助かるよ。 ……ところで、それ、使える人いたの?」
そこにあるったのは超巨大な大。
長さは優太の身長をゆうに超え、太さや幅は彩音の身体にも匹敵する。
「いや……ただ、伝説の武器のひとつでな。 オリハルコンって言う、超金属で出来てる。この町のシンボルだよ」
強度においては我々の世界最硬のダイヤモンドをもしのぐ強度のオリハルコン。
もちろん重さも尋常ではない。
「そもそも持てる人間も滅多にいないさ。 100kgを超えてるんだからな」
なるほど、打撃武器としては超一流だ。
……これを振るえる人間がいれば、だが。
ヒョイッ
『いっ!?』
しかし、ここにいたのである。
このオリハルコン製の大剣を平気で振りまわせる人間が。
「こいつ、借りるぜ」
SUNNY-MOON
第4話 Rival
「ここを開けてくれ。 この国の王に用がある」
王様の事を知ってか知らずか、関門にたどり着いた優太は開口一番に言い放った。
「ん? 通行証はあるのか?」
「悪い、持ってない」
「ならば立ち去れ。 ……言っておくが関所破りが死罪なのはわかって……」
ブンッ ドガァッ!!
「……通るぞ」
関所の向こう側で声をかけていた男達は、一撃で自分の目の前の壁がなくなったのを驚かずにはいられなかった。
「……!! この! 関所破りだーっ!!」
その声とともに集まる兵士、およそ20。
全員が剣、槍などを構えている。
「手加減なんて出来ないぜ、覚悟しな!」
戦いが始まった…。
「このっ!」
サッ シュッ
相手の剣を避けながら、優太は相手を撹乱させていく。
「このやろう!」
「あんなものを持っていながら、ちょこまかと……っ!」
……何時の間にか、気がつけば20人ほどの兵士はみんな固まって優太を追いかけていた。
「……そろそろかっ!」
ザッ!
突如優太は足を止めると、右足を前に出し、大きく踏み込む。
『!?!?』
今まで逃げていたものが突如牙を向く。
一般的には[窮鼠猫を噛む]的な図だが、実際にはすべて優太の戦略だった。
「!! みんな、散りなさ…」
「遅ぇ!!」
ドガァッ!!
現れた男の叫び声は、兵士たちに届くことはなかった。
強力な一閃…もはや鎧など意味はない。
一瞬にして敵の兵士は吹き飛んでいった。
「……っと。 あんたで、最後か」
今までと違う空気を、優太は感じていた。
こいつは実力者だ。
今までの雑魚とは桁が違う。
「そうですね。 ここは私に任されていますから、私が倒れれば、この関門を守る者はいません」
「……そこをどいてくれないか? 俺はこれから王様に会いに行くんだ」
「……すみません、ここは通せません……私の、命に代えても」
相手の男は細長いその剣を構える。
「この剣じゃ、分が悪いか」
ドンッ スチャ……
優太も、大剣を手放し腰にある刀を引き抜く。
「……いきます!」
ダッ!
最初に駆け出したのは、相手の男。
体を思い切り低くかがめつつ、一直線に走るその速度は並みの速さではない。
「いく……ぜっ!!」
ギィン!!
2人の武器がぶつかり合う。
「ぐっ……!」
「なにっ……!?」
2人は驚きを隠せない。
(俺の力に匹敵する力の持ち主がいたのか!?)
前にも述べたが優太の力は世間一般のそれを大きく上回る。
その攻撃が正面からぶつかり合ってはじかれる。
それはつまり、同等の力だということだ。
(くっ……この男、何も能力を使用していないというのに……っ!!)
男は能力を使用していた。
その能力は“[撃]龍撃化(ドラゴンインストール)”。
自らの攻撃力を格段に上昇させる能力である。
Lv.3のアビリティであり、これにより男の力は5倍近くにはなっているはずである。
それとぶつかり合い、互角。
尋常ではない。
「やりますね……なら、これはどうですかっ!」
ズシュッ!
「!?」
見えない何かが優太の腕を掠めた。
わずかではあるが、血が流れる。
「“[真]真空壁(ヴァキューム)”……能力のないあなたに、かわせますか?」
わかりきっていることだったが、突き付けられた現実は、厳しかった。
SoU「どうも、SoUです。 いきなり関門破っちゃいそうですね」
優太「あいつなんで能力使えるんだよ! ここは王族以外能力が……」
SoU「そう。 王族以外は使えないよ」
彩音「もしかして、あの人……」
SoU「さ、これ以上はネタバレになるので、また次回〜」
次回予告
それと同じ頃…現実世界では異変を感じ取った者が動き始めていた。
不思議な力、“魔力”を持つ者。
???「あの力は……何……?」
偶然SUNNY-MOONを手に入れた少女たちは、魔力を持つ者と共にSUNNY-MOONに隠された真実を暴いていく。
???「これが……真実よ」