ギィン! ズシュッ!

剣による攻撃だけは何とか防いでいる優太だが,いかんせん、目に見えない能力がどうにもならない。
気配、感覚である程度避けてはいるが、完璧には避けきれない。

「どうです? そろそろ、限界のようですけど?」

「俺は、ここを開放しなきゃいけないんだ! 帰るためにも……大切な人のためにも!」

ギィン!

再びぶつかり合う剣と刀。
相手も手練なのか、それによって隙が生じる気配は微塵もない。

グラッ

むしろ優太のほうに隙が生じてしまう。
そこを見逃す相手ではない。

「これで、終わりです!」

男は、剣を振り上げた。



SUNNY-MOON

第7話 Company



 カッ!!

「!? 何事です!?」

男と優太の間に発生した光に、思わず剣を構えなおす。
……しかしその光が止む前に、事は動いた。

「”[火]火炎弾(フレイムショット)”!」

ゴウッ!

女性の声と、炎。
その炎が、相手の男に向かっていく。

「なっ!? くっ!」

バシュッ!

目に見えない何かが、炎の弾をさえぎる。

「助太刀しますわ、春原優太くん」
「4対1……正義の味方はいつもこんなものかな」
「大丈夫?」

光の中から現れたのは、水羽、由依子、恭平の3人。
どうやら間に合ったらしい。
しかし見覚えのない3人に、優太は驚きを隠せない。

「……誰だ?」
「あんたたちがこのゲームの中にいるって知って、飛び込んできたのよ!」
「説明よりも先に、まずはあの人を何とかしますわ」
「由依子に同感。 お互いの目的のためにも、あの人を何とかしよう」
「……了解。 例え今だけでも、味方と信じるぜ」

こうして、4対1の構図が出来あがる。

「勝てないのはわかっていますが……引けないのです!」

そう言うと再び腰をかがめて4人に向かってくる男。

「”[地]土石槍(グレイヴ)”!!」

ズガガッ!!

恭平の掛け声と共に、男の足元から石で出来た槍が突然飛び出してくる。
男はそれを直前で身体をひねるようにしてかわす。

「ちっ!」
「はぁぁぁぁぁっ!!」
「!!」

バキィッ!!

水羽の拳での一撃……身体をふらつかせならも何とか回避……しかし鎧の肩当が粉々になって吹き飛んでいる。

“[龍]龍撃化(ドラゴンインストール)”とでも言うのですか!?」

ザシュッ!!

風が流れた。
その風は足を切りつけ、男はたまらず座り込む。

スチャッ

そして、優太が刀を突き付ける。

「チェックメイト、ですわ」

座り込んだ男は、そのまま目を閉じている。
どうやら覚悟を決めたようだ。

「……名は?」

その言葉に、男は答える。

「……“ルミナス=シェル=ラインハルト”です。 あなたは?」

「春原優太。 ……訳有りなようだからな。 先に行くぞ」

刀を納め、優太は駆け出す。
3人はそれについていく。

「待ってください……あなたたちは、この国を変えようとしているのですか?」

この国は、王と王子が中心となって民から税を巻き上げ、私腹を肥やしている国だ。
……もちろんそれらの事を優太たちは知るはずもないが。

「俺は自分のために動いてるだけだ。 ……そのためなら、国でも世界でも、変えて見せる」

その決意は本物……目が語っている。
それを見て、ルミナスは剣を納めた。

「……わかりました。 私は、この国を変える必要性があると思ってます。 せめてそれまでは手伝わせてもらいますよ」

その言葉に優太はうなづく。
先程の戦いで強さを認め合っている2人。
分かり合うのは容易だったようだ。





 その後、城内にもはやこの5人にかなうものはなく、あっという間にこの国の王、王子は優太たちの手で捕らえられる。
町を開放し、優太はこの世界の英雄になり始めたのである……。






SoU「制圧劇は省略!(爆」

水羽「まぁ、あとは時間の問題だったみたいだし」

SoU「合流も出来たみたいで、よかったよかった」

由依子「最初は迷わせる予定だったのでしょう?」

恭平「迷わないでよかったよ」

SoU「無意味な話の伸ばし方はしたくなかっただけ。 では〜っ♪」


次回予告

 戦いも終わり、ついに町を出る準備をはじめる5人。
町の人たちの支えもあって、何とか装備も整う。

優太「これが……能力?」

能力も覚え、これからは戦えると喜ぶ彩音。
だが、町が開放されたというのにルミナスの顔はさえない。
そして、その口から真実が語られる。


第8話 Prince


ルミナス「私はあなたに生涯仕えることを約束しましょう」