お風呂免許習得物語
<其の10>

【み・10級受験者】
「名人。ただいま試験終了しました。」

【Q1級受験者】
「おっ。そうか。 どうだった?  出来たか?
10級くらいで落ちるなよ。」

【み・10級受験者】
「はい。少し実技であがってしまいましたが、筆記はばっちりです。」

【Q1級受験者】
「何? 実技であがったのか。」

【み・10級受験者】
「はい。やはり人前でという経験がなかったもので。」

【Q1級受験者】
「うむ。だから俺が実技をみてやると言っただろう。」
(にやにや)

【み・10級受験者】
(それには答えず)
「合格発表はあさっての日刊お風呂の新聞紙上でしたね。」

【Q1級受験者】
「そうだ。夕方から翌朝にかけて1級試験があるからな。
1級試験は長いのだ。」

【み・10級受験者】
「Q名人。まだ夕方まで時間があります。どうしましょ。」

【Q1級受験者】
「そうだな。一度家に戻って最後の点検をしてもいいな。近いし。」

【み・10級受験者】
「え? そんなぁ。それじゃ、名人は私のために大事な時間を使って付き添って下 さったのですか?」

(感激でちょっとうるうる。)

【Q1級受験者】
「いやぁ。彼女にも逢えたし・・・。いや、じゃなくて、そう。前にも言ったように お前が落ちるような事があったら私の恥でもあるからな・・。えへん。」
(汗)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

【Q1級受験者】
「私は、少し最後の勉強の点検をするからな。」

【み・10級受験者】
「はい。」

【Q1級受験者】
「・・・・?・・・・・!!!!!・・あっ・・・・・。」

【み・10級受験者】
「どうかしたんですか?」

【Q1級受験者】
「昨日、4時間かけて作ったデータを・・・・消してしまった・・・!」

【み・10級受験者】
「あのぅ。ショックもわかりますが、そろそろ支度をお時間です。」

【Q1級受験者】
「・・・・。」

【み・10級受験者】
「名人!しっかり!試験場に行きますよ。」

【Q1級受験者】
「お・おう。」

【み・10級受験者】
「着きました。私は朝までここでずっと待っています。名人。頑張って試験を受けて 来て下さい。」

【Q1級受験者】
「お・おう。」

【み・10級受験者】
「心配だなぁ。名人。心ここに非ずって感じだったし。  う〜ん。
ただここで待っていても心配なだけで落ち着かない。
おや?日刊お風呂だ。そういや今日は朝からばたばたしてちゃんと新聞を読んでいなかったな。 ふむふむ。あぁ、Q名人の事が載ってる。やっぱり名人は注目度が違うなぁ。是非頑張って欲しい。
1級試験は長くて長くて・・・。ふぁ〜。ねむ・・。」

【Q1級受験者】
「帰る。起きろ。」

【み・10級受験者】
「はっ!あら。いつの間にか寝てしまった。名人。どうでした?」

【Q1級受験者】
「わからん。しかし疲れた。帰って寝たい。」

【み・10級受験者】
「はい。」

【Q1級受験者】
「・・・・。」

【み・10級受験者】
「考え込んでいますね。どうしたんですか?」

【Q1級受験者】
「いや。いろいろ思い返していたんだよ。俺は注目されていたんだよなぁ。」

【み・10級受験者】
「はい。会場で読んだ日刊お風呂でも名人の事が。」

【Q1級受験者】
「・・・う〜ん。もしかしたら・・。まずいかも。」

【み・10級受験者】
「そんな気弱な事を。今日はゆっくり休んで明日の朝刊を待ちましょう。」


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