お風呂免許習得物語
<其の16>

【み・弟子】
「この所、名人は妙に熱心だし、凄い上達ですね。」

【Q修行者】
「本気になった私は凄いのだよ。」

【み・弟子】
「きっかけは、何だったんですか?」

【Q修行者】
「宇宙だよ。宇宙の下では私も、水も、岩も、草木も、虫も、雲も、一滴のしずく も、熊も、同価値なのだよ。判るかな?」

【み・弟子】
「熊も?」

【Q修行者】
「滝に打たれる事そのものにはそれ程意味はないが、厳しい環境で無心に一心に瞑想 し続けるといろいろ見えてくるモノなのだ。熊は・・まぁ良い。」

【み・弟子】
「そろそろ試験日が近づいてきたので今日が最後の日になります。あぁ、この露天風 呂ともお別れかぁ。最高の露天でしたね。宿もよかったでしたね。宿の親父さんにも 世話になった。修行に打ち込めるように気を使って貰った。」

【Q修行者】
「今日が最後の露天風呂だな。どうだ?最後の露天、満天の星空の下、俺の、いや、 私の背中流しの指導を受けるというのは? でへへ。」

【み・弟子】
(聞こえなかったという事にして)
「なにやら騒がしいな。何かあったのかな?様子を見てこよう。大変です!露天風呂 で!」

【Q修行者】
「どうした?誰かのぼせて倒れたのか?だったら俺が・・。」

【み・弟子】
「熊が倒れてます!」

【Q修行者】
「熊ぁ?そんなものほっとけ!その内、山へ帰る。」

【み・弟子】
「いえ、宿の親父さんを呼んできます!」


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