お風呂免許習得物語
<其の21>

ある天気の良い日。KONちょんと話す

【み・弟子】
「名人、ヒノキの風呂桶を購入してきました。」

【Q名人】
「まずは『ケロヨン』風呂桶を手に入れなさい。」

【み・弟子】
「ヒノキのどこがいけないんですか!?」

【Q名人】
「何も分かってませんね。いいですか?『ケロヨン』風呂桶を手に入れるということ は、銭湯の常連であることのシンボルなのです。」

【み・弟子】
「・・・・・そうだったのか。」
(目からウロコ)

【Q名人】
「それまでは銭湯の備え付けの風呂桶を使わなければいけません。これが礼儀という ものです。」

【み・弟子】
「お風呂の道は深いです。」

【Q名人】
「なめてかかっちゃいけません。」

【KON:ちょん】
「こらぁ〜。俺だってお風呂に関しちゃ、ちょっとうるさいんだぜぇ。半身浴と江 戸っ子というレポート提出には自信がある。」

【Q名人】
「うっ・・・。」

【み・弟子】
「KON:ちょん、さん。是非そのレポートの内容を教えて下さい。」

【KON:ちょん】
「ふむ、まぁいいだろう。だが、詳しいことまでは勘弁してくれ。  今度の検定試験の後に控えている学会に提出するものだからな」

【み・弟子】
「が、学会?そんなものまであるんですか?」

【KON:ちょん】
「なんだよ、そんなことも知らないのか?名人、ちゃんと教えなきゃだぜ。」

【Q名人】
「言われなくても、これから教えるところです。」

【み・弟子】
「あの、お二人はお知り合いなんですか?」

【KON:ちょん】
「NOC時代の同期だ。」

【み・弟子】
「・・・?NOC」

【KON:ちょん】
「・・・・・・・・・・・・ふぅ。」

【Q名人】
「NOCとは、『日本お風呂カレッジ』の略称です。
 『保健衛生省認定正調お風呂講座1級免状』取得を目指す全国の有志が集う  専門の施設です。」

【み・弟子】
(なんだか、凄いことになってきたような・・・)

【KON:ちょん】
「ところで、ホントに何も知らないようだが、聞けば免許取得を目指してるそ  うじゃないか。なにか、お風呂に対して強い思い入れとかあるんだろう?」

【み・弟子】
「そ、それは・・・」

【KON:ちょん】
「『名人に会って、触発された』なんてのは無しだぜ?」

【み・弟子】
「そ、そんなことはありません!!
 お、お風呂は、楽しんで入るものだと思ってます。今までもそう思ってま  したし、これからもそうありたいと思ってます!」

【KON:ちょん】
「ふぅん?だったら、なにも免許なんか取らなくても同じじゃないか」

【み・弟子】
「そ、それは・・・免許を取るための勉強をすれば、今まで知らなかったよ  うな楽しみ方も分かるようになるかな・・・って」

【KON:ちょん】
「・・・それだよ」

【み・弟子】
「・・・は?」

【KON:ちょん】
「レポートの内容さ。 『半身浴と江戸っ子』。内容を教えてくれっていったろ?」

【み・弟子】
「はぁ。」

【KON:ちょん】
「半身浴ってのは知ってるな?難しい説明は省くが、温めの湯に長時間浸  かって、熱い湯に浸かるよりも身体に負担を掛けずに温浴効果を促すっ  ていう、健康法だ。」

【み・弟子】
「はい。」

【KON:ちょん】
「よしよし。 だが、日本には『江戸っ子』って奴が居る。熱い湯に浸かるのは当たり前。  水で埋めるなんてのはもっての他!って奴だ。聞いたことあるだろ?」

【み・弟子】
「はい、それもあります。」

【KON:ちょん】
「だけど、奴等は何も無理しては言ってる訳じゃないし、意地を張ってる  訳でもない。楽しんで入ってるんだ」

【み・弟子】
「はぁ。」

【KON:ちょん】
「そこで、だ。どっちがいいと思う?」

【み・弟子】
「え?」

【KON:ちょん】
「だから、半身浴で入るのと、江戸っ子みたいに・・・いや、あんなでな  くてもいい。肩まで浸かって、ゆっくりしてるのとどっちが良いかって  ことさ。」

【み・弟子】
「え?いや、そう急に言われても。」

  【KON:ちょん】
「ま、そうだろうな。だから、そういったことをまとめたのが、『半身浴  と江戸っ子』なんだ。」

【み・弟子】
「あぁ、なるほど。うーん、難しいですねぇ。」

【KON:ちょん】
「難しいことはないさ。ようは、お風呂を楽しくするにはどうすれば良い  かって、ことだからな」

【み・弟子】
「いえいえ、感服しました。そう言えば、学会にはQ名人も出席なさるん でしょう?どんな内容のレポートを提出されるんですか?」

【KON:ちょん】
「そうだよなぁ。俺にここまで言わせたんだ、そっちの方も知りたいなぁ。」
(ニヤリ)

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