お風呂免許習得物語
<其の8>

【Q名人】
「はい。お電話代わりました。もしもし。Qです。あっ。はい。先日はどうも。え? そうですか?でへへ。いやぁ。それほどでも。はい。えぇ。そうですね。いえ、予定 なんて。はい。わかりました。それでは、これから。どうも。でへへ。」

【み・住み込み見習い】
「お出かけですか?」

【Q名人】
「うん。ちょっと出掛けてくる。」

【み・住み込み見習い】
「最近、お出掛けが多いですね。大丈夫ですか?試験近いのに。」

【Q名人】
「心配ないって。行って来まぁす。あっ、遅くなるかもしんないから先に寝てて ねぇ〜。」

【み・住み込み見習い】
「あれれぇ。うれしそうに行っちゃったよ。私は、”ヒノキ風呂が最高級といあわれ るその理由と歴史的考察”という本を読んで寝よう。」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

【み・住み込み見習い】
「おはようございます。名人、いますか?あれ?まだ?」

【Q名人】
「ただいまぁ。寝るぅ。」

【み・住み込み見習い】
「朝帰り・・・?」

【Q名人】
「話しかけるな。起こすな。俺は寝る。起きたら風呂と飯だからな。」

【み・住み込み見習い】
「はい・・・。あぁ、試験がもう3日後だというのに。名人・・。」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

【み・住み込み見習い】
「おはようございます。私のレポート”大衆浴場におけるケロヨンマークの洗面器の 変遷”というレポートを読んで戴きたいのですが。」

【Q名人】
「おう。入れ。俺も追い込みだが、見てやる。お前が落ちたら俺の恥でもあるから な。」

【み・住み込み見習い】
「ありがとうございます。」

【Q名人】
「うんうん。なかなか勉強したじゃないか。良くできてるよ。」

【み・住み込み見習い】
「初めて褒められました。うれしいです。この調子で頑張ります。
この後、風呂支度と夕飯の支度をします。何か注文は?」

【Q名人】
「ソースとんかつ重がいいな。」

【み・住み込み見習い】
「はい。わかりました。あのう。名人。ちょっと言いにくいんですが・・。」

【Q名人】
「なんだ?言って見ろ。」

【み・住み込み見習い】
「私は、名人を本当に尊敬しています。お風呂に対する情熱、知識、こだわり。だか らこそこうしてお世話させていただき私の勉強まで見て貰って光栄です。」

【Q名人】
「そうだろそうだろ。わはははははは。」

【み・住み込み見習い】
「でも、名人の私生活というかプライベート部分まで口を出すのは差し出がましいん ですが・・・。最近、お出掛けが多すぎるんじゃないかと。このままでは試験に差し 障りがあります。どうか時期を考え慎重に行動していただきたいのです。」

【Q名人】
「な・何を言ってる・・。か・彼女は・・、いや、お・俺は・・えぇと。
それは・・もごもご・・。」

【み・住み込み見習い】
「名人、正直におっしゃって下さい。試験勉強どのくらいまで進まれました?」

【Q名人】
「・・・24%・・・。」

【み・住み込み見習い】
「この間からちっとも進んでいないじゃありませんか!」

【Q名人】
「え・え〜と。それはだな。俺ほどの・・・あっ、電話だ!もしもし?あ、そう。 俺。うんうん。行く。すぐ行く。じゃ。
ちょっと出掛けてくる。今日は遅くならないで勉強する。かつ重はお前喰ってろ。行って来まーす。」

【み・住み込み見習い】
「名人。試験大丈夫なんだろうか・・。」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

【Q名人】
「ただいまー。おーい!帰ったぞー!あれ?どうしたのかな?
おーい!怒ってるのかな?いたいた。おいおい、返事くらいしろ。帰ったぞ。どうしたんだ?」

【み・住み込み見習い】
「あっ、名人。おかえりなさい。おなか痛い・・。かつ重に当たったかも・・。」

【Q名人】
「何?試験は2日後だぞ?」

【み・住み込み見習い】
「それは名人も同じ事。いたたたたた。」


next

back



蟹屋 山猫屋