6.手術

手術当日。 いよいよその日が来てしまいました。手術は13時から。

ちなみに、今回の手術は医学用語では『右乳房切除(単純)(ゲフリール手術)』というらしい。
(ゲフリールとは「術中迅速病理検査」の略称で、術中に切除した検体を即、検査すること。
 「4.入院」で執刀医の説明にあった組織検査で、この検査結果により手術内容の変更がありうる。)
切られる側にとっては大問題だけど、切る側にとっては『単純』なんだなぁ。

午前中から点滴やら、睡眠剤投与やら、なんとなくあわただしい。
本人は意外と落ち着いている。まな板の鯉という感じだろうか?
それとも昨夜からの睡眠剤で若干朦朧としている?

予定より少し遅れて、看護師が迎えに来て、手術室へ。時刻は13:20。
未だに私の腕時計、クロノグラフの目盛は20分にあったままになっている。

永遠とも思われる時間・・・そろそろ摘出が終わった頃か、と思っていたら発泡スチロール状のケースを
持った男性が手術室へ。少ししてケースを持って出ていった。
あぁ、摘出したんだな、片側がなくなってしまったんだな・・・・

それから40分くらい経ったろうか、看護師が「先生からお話がありますよ」と呼びに来たので、
彼女の母と二人で手術室の横、準備室へ。

ふと見ると、目の前にトレイの上に、ガーゼに包まれた、血まみれの巨大な塊があった。
これが彼女を苦しめていたものか・・・・

先生が出てきました。多分、私たちは祈るような顔つきになっていたでしょう。
「無事に摘出は終了しました。これがそうです。乳頭は希望どおり残すことができました。
内部にだいぶ液化してるところがあり、手術中に何度も液体が漏れてきました。
内側に(その部位を示しながら)かなり怪しいところがあったので念のため腋下リンパを開いてみましたが
問題無く、検査の結果も悪性では無いようなので縫合します。皮膚も問題なさそうなので移植はしません」

大体、そんな説明だった。
そうか、悪性じゃなかったか・・・良かった・・・
私の友人や、彼女の友人が心配して来院していたので、大丈夫だったよ、と伝える。

それから1時間後、手術が終了し、彼女が出てきた。
真っ青な顔、だけど落ち着いて見える。 無事終わって良かったね、声をかけるとかすかにうなずく。

病室に戻って、だいぶ意識が回復してから、悪性じゃなかったって、と言うと、少し驚いていた。
どうやら、麻酔から覚めて手術室の時計を見たときに、予定より時間がかかっていたので悪性だったため
リンパ等も切除したんだと思ったらしい。
後で判ったことだが、医者の言う手術時間には縫合や後処置の時間は含まれないようだ。

無事でよかった。本当に、よかった。やっと永い一日が終わろうとしている・・・


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